iPhoneやウォークマンなどのポータブル機器をうまく使うことで、いつも車で聴いてる音楽をより高音質にできます。
ただ、最近のポータブル機器には様々な接続方法があり設定も複雑なので、接続のしかたを間違えるととりあえず音は聴こえるけどなぜか音質は悪い…となることもありえるのです。
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ここでは、車の中でiPhoneなどのスマホやウォークマンをどのように接続すれば高音質で音楽を楽しめるかについて書かせていただきます。私がこれまで20年以上カーオーディオの開発に関わってきた経験も踏まえ、考えられる限りの接続方法を紹介していきます。
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車とiPhoneやウォークマンの高音質な接続方法
ここでは、iPhone等のスマホやウォークマンを正しく接続し、車で高音質に音楽が聴ける具体的な方法を書いていきます。ただし、ここでは簡単にできる方法を大前提にしていますので、実際の作業は電気屋さんやインターネット通販等で普通に売ってる普通のケーブル類で接続するだけです。
詳細な接続方法は次章より書かせていただきますが、高音質出力を行う前提で、以下の通りハイレゾ音質または疑似ハイレゾ音質の2つどちらかに対応したシステムとします。
- ハイレゾ音源ソースでほぼハイレゾ音質出力を行うシステム
- CDリッピングデータなどCD音質以下の音源ソースで疑似ハイレゾ音質出力を行うシステム
ソースとなるハイレゾ音源の入手先については、こちらの”ハイレゾ音源がダウンロードできるおすすめ配信サイトと4つの注意点“の記事に整理しましたので、もしよろしければ合わせてどうぞ。
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ハイレゾ音源でほぼハイレゾ音質を出力
まず初めに、ハイレゾ音源をソースとしてカーオーディオのスピーカーからほぼハイレゾ音質の音楽を出力させ、高音質が楽しめるシステムを考えてみます。
“ほぼ”ハイレゾ音質と書いたのは、ポータブル機器側でのハイレゾ信号D/A変換出力後、カーオーディオ側でA/D変換されその後どれだけの解像度でデジタル処理されているか不明なためです。
具体的には以下3パターンが考えられます。
- ウォークマン単体使用AUX入力ハイレゾ出力システム
- ウォークマン+ポタアン/USB-DAC使用AUX入力ハイレゾ出力システム
- iPhone/iPad/iPod+ポタアン/USB-DAC使用AUX入力ハイレゾ出力システム
ウォークマン単体でAUX入力ハイレゾ出力
下図のようなシステムとなります。 ハイレゾ音源をウォークマンで再生しAUX出力します。
AUX出力されたハイレゾ相当のアナログ信号をそのままカーオーディオへAUX入力します。 カーオーディオの中の信号処理はデジタルとなりますのでA/D変換されDSPやパワーアンプを通り最後にD/A変換されてスピーカーからハイレゾ相当の音質で出力されます。万が一、カーオーディオ内のデジタル信号処理が低品位な場合、その分信号が劣化し音質が悪くなる可能性があります。
ウォークマン+USB-DACでAUX入力ハイレゾ出力
下図のようなシステムとなります。 ハイレゾ音源をウォークマンで再生のみ行い専用USBケーブルで出力します。
USB出力されたデジタル信号をハイレゾポータブルアンプまたはUSB-DACで受け取り、DSPやアンプを通過後D/A変換されてAUX出力します。前段での音質はウォークマン部よりもハイレゾポータブルアンプまたはUSB-DACの性能次第となります。
AUX出力されたハイレゾ相当のアナログ信号をそのままカーオーディオへAUX入力します。 カーオーディオ入力段でA/D変換されDSPやパワーアンプを通り最後にD/A変換されてスピーカーからハイレゾ相当 の音質で出力されます。ここでも前のシステムと同じように、万が一、カーオーディオ内のデジタル信号処理が低品位な場合、その分信号が劣化し音質が悪くなる可能性があります。
iPhone等+USB-DACでAUX入力ハイレゾ出力
下図のようなシステムとなります。 ハイレゾ音源をiPhone等で再生し専用アダプタ+ケーブルでUSB出力します。
このとき、iPhone等へ直接USBケーブルを挿すのではなく、カメラアダプタやカメラコネクションキットを使用するのがポイントです。これらを使用しない場合、デジタル出力する際にハイレゾデータのまま出力することができません。
USB出力されたデジタル信号をハイレゾポータブルアンプまたはUSB-DACで受け取り、DSPやアンプを通過後D/A変換されてAUX出力します。前段での音質はiPhone等よりもハイレゾポータブルアンプまたはUSB-DACの性能次第となります。
AUX出力されたハイレゾ相当のアナログ信号をカーオーディオへAUX入力し、カーオーディオ入力段でA/D変換されDSPやパワーアンプを通り最後にD/A変換されてスピーカーからハイレゾ相当 の音質で出力されます。ここでも前のシステムと同じように、万が一、カーオーディオ内のデジタル信号処理が低品位な場合、その分信号が劣化し音質が悪くな る可能性があります。
非ハイレゾ音源で疑似ハイレゾ音質出力
次に、CDのリッピングデータなどCD音質同等以下の音源をソースとしてカーオーディオのスピーカーから疑似ハイレゾ音質の音楽を出力させ、高音質が楽しめるシステムを考えてみます。 こちらも以下3パターンが考えられます。
- ウォークマン単体使用AUX入力疑似ハイレゾ出力システム
- ウォークマン+ポタアン/USB-DAC使用AUX入力疑似ハイレゾ出力システム
- iPhone/iPad/iPod+ポタアン/USB-DAC使用AUX入力疑似ハイレゾ出力システム
ちなみに、こちら”知っておきたい将来も後悔しないレンタル/購入CDのコピー・取り込み方法“の記事で、CDをリッピングする際の注意点を整理してみました。 もしよければ、合わせてご参考にどうぞ。
ウォークマン単体でAUX入力疑似ハイレゾ出力
下図のように、CD相当音源をウォークマン(DSEE-HX:ON) で再生し疑似ハイレゾ音質の状態でAUX出力します。
AUX出力された疑似ハイレゾ相当のアナログ信号をカーオーディオへAUX入力し、入力段でA/D変換されDSPやパワーアンプを通り最後にD/A変換されてスピーカーから疑似ハイレゾ相当 の音質で出力されます。
ウォークマン+USB-DACでAUX入力疑似ハイレゾ出力システム
下図のように、CD相当音源をウォークマン(DSEE-HX:OFF) で再生し専用USBケーブル出力します。
USB出力されたデジタル信号をハイレゾポータブルアンプまたはUSB-DACで受け取り、DSPやソフトウェア処理でアップスケーリングして疑似ハイレゾ音質にしてアンプを通過後D/A変換されてAUX出力します。前段での音質はウォークマン部よりもハイレゾポータブルアンプまたはUSB-DACの性能次第となります。
AUX出力された疑似ハイレゾ相当のアナログ信号をカーオーディオへAUX入力し、入力段でA/D変換されDSPやパワーアンプを通り最後にD/A変換されてスピーカーから疑似ハイレゾ相当の音質で出力されます。
iPhone等+USB-DACでAUX疑似入力ハイレゾ出力システム
下図のように、CD相当音源をiPhone等で再生し専用アダプタ+ケーブルでUSB出力します。
このとき、iPhone等へ直接USBケーブルを挿すのではなく、カメラアダプタやカメラコネクションキットを使用するのがポイントです。これらを使用しない場合、デジタル出力する際にハイレゾデータのまま出力することができません。
USB出力されたデジタル信号をハイレゾポータブルアンプまたはUSB-DACで受け取り、DSPやソフトウェア処理でアップスケーリングして疑似ハイレ ゾ音質にしてアンプを通過後D/A変換されてAUX出力します。前段での音質はiPhone等よりもハイレゾポータブルアンプまたはUSB-DACの性能次第となります。
AUX出力された疑似ハイレゾ相当のアナログ信号をカーオーディオへAUX入力し、入力段でA/D変換されDSPやパワーアンプを通り最後にD/A変換されてスピーカーから疑似ハイレゾ相当の音質で出力されます。
iPhone・ウォークマンによる高音質化の可能性
なぜポータブル機器を車へ持ち込むのか
まず初めに、なぜ音楽を高音質に楽しむためにiPhone・ウォークマン等のポータブル機器を使うかについて書きます。以下3つの理由があるからです。
- カーオーディオよりもポータブル機器の方が多様な音楽メディアの取扱いが行いやすい
- カーオーディオよりもポータブル機器の方が開発・買替サイクルが早く、より安価に高音質化のための最新技術が手に入る
- カーオーディオはまだほとんどハイレゾ対応していない
ここで、高音質というテーマに対しては最近話題のハイレゾという観点も含めて考えていきます。 ハイレゾとは何かなどハイレゾとカーオーディオについての基本的な内容は、こちらの”誰でも簡単にハイレゾオーディオを車で楽しむ方法”にまとめましたので、もしよろしければ合わせてご覧ください。
2013年末にハイレゾウォークマンが発売された翌年であり、ハイレゾ普及元年と呼ばれる2014年、それから1年たった2015年時点でもハイレゾ対応しているカーオーディオは、一部の超高級ハイエンド機器を除いてカーメーカー純正のものはほぼ存在せず、クラリオンまたはケンウッドのナビAV一体機のみとなります。
また、音楽メディアの取扱いについては、CDを挿入するだけで勝手にライブラリの中に録音してくれる便利なカーナビ・オーディオもありますが、PCと連携したライブラリ作成・管理や特定のクルマに依存せず自由に持ち運び・取り付けできるライブラリ等を考慮するとポータブル機器に勝るものはありません。
ポータブル機器がもたらす高音質
高音質を作り出す機器のイメージというと、据え置き型の高級ホームオーディオシステムが思い浮かぶ場合が多いかもしれません。しかし、ここでは”車の中”という環境を考えてますので、据え置き型の高級ホームオーディオシステムを車内に持ち込むのは現実的ではありません(笑)。そこで登場するのが高音質なポータブル音楽プレイヤーです。近年の情報処理技術の急速な進歩により、高音質を実現するために必要な大容量の通信回線やメモリ、高速処理が可能な機器の低価格化や小型化が可能になりました。
ここでは高音質化の実現案として、ハイレゾ音質と疑似ハイレゾ音質について考えていきます。
- ハイレゾ音質:CDに記録されている楽曲よりも情報量を増やすことで実現させたより高い音質
- 疑似ハイレゾ音質:CD同等以下の音質の楽曲をアップスケーリング等のデータ変換することで得られるハイレゾ相当の音質
アップスケーリングにはいくつかの方法(アルゴリズムと呼ばれます)があり、
- SONYのDSEE-HX
- VICTORのK2やK2-HD
が有名です。
車の中でiPhone・ウォークマン等で音楽を高音質に聴く接続方法まとめ
こちらの記事では、ハイレゾウォークマンやiPhoneなどを使ってクルマの中で手軽に高音質な音楽を楽しむ方法について書かせていただきました。
確かに超高級なカーオーディオシステムを専用で組めば、フルデジタルでハイレゾ再生を行い無限に音質を高めることも可能です。 しかし、そこまでしなくても意外と簡単にクルマの中でハイレゾ再生が可能!ということをご理解いただけたと思います。
いくつかの方法を紹介しましたが、個人的にはハイレゾウォークマンを使う方法が最もシンプルで簡単と考えています。 特に以下3つの観点で優れていると思います。
- 音楽再生専用機として設計されているため、もともと比較的いい音が出せる
- 追加の機器や専用ケーブルが必要ない
- DSEE-HX機能が内蔵されておりアップスケーリングを行うのに原則追加でポタアンやUSB-DACが必要ない
ちなみに現状のハイレゾウォークマンのラインナップは以下の通りです。
※ソニーウォークマン公式サイト:ウォークマンラインナップ
また、上記ハイレゾウォークマンをカーオーディオのAUX端子に接続する時に必要となるステレオミニプラグケーブルですが、こちら”知っておきたい車のAUX端子用ステレオミニプラグケーブル(オーディオケーブル)の選び方“の記事に車の中で使用する観点ならではのメリット・デメリットをまとめましたので、もしよろしければ、ご参考にどうぞ。