iPhone7(2016年発売)のイヤホンジャック採用中止から始まったイヤホンジャック廃止時代!
イヤホンジャック廃止の影響は、実は車の中で音楽を聴く環境にも様々なの衝撃を与えています。
例えば、スマホにイヤホンジャックの設定が無いと、そのままではAUXケーブルでカーナビ・カーオーディオと接続することができません。
さらに、スマホ側だけで無くカーナビ・カーオーディオ側でもAUXジャック廃止が進行しています。
例えば、トヨタはDA(ディスプレイオーディオ)の標準装着と同時にAUXジャック廃止に踏み切っており、2016年以降のディーラーオプションのT-connectナビ、メーカーオプションでも2019年より順次、カローラシリーズ、カムリ、CH-R、アルファード、ヴェルファイア、ヤリス、新型RAV4 PHV、新型ハリアーには既にAUXジャックの設定がありません。
ここでは、このようなイヤホンジャック・AUXジャック廃止の動向について改めて整理し、みなさまがお使いのほぼ全てのパターン別に、車内でスマホを活用するにはどのような対策・接続方法が各々ベストであるかについて書かせていただきます。
これまで20年間で7台の車、9台のカーナビ、7台のスマホを使ってきた私の実体験と約15年間のカーオーディオ開発経験で得られた経験をベースに書かせていただきますので、それなりに濃い内容になっていると自負しています。
- スマホを使って車で音楽を聴かれる方
- スマホを使って車で音楽を聴く場合のベストな接続方法を知りたい方
- イヤホンジャック廃止スマホへの買替を検討中だけど迷われている方
- 車・カーナビ・カーオーディオの購入検討をされている方
には特に参考になるかと思います。
イヤホンジャック・AUXジャックとは?
まず初めに、イヤホンジャック・AUXジャックそのものについて、おさらいしてみます。
イヤホンジャックとは?
まずイヤホンジャックとは、スマホに限らずウォークマン・iPod等の電子機器のイヤホン出力端子のことを指します。
名前の通り、イヤホンやヘッドホンを挿すことができる穴です。 アンプ内蔵タイプであればスピーカーを挿すこともできます。
上図は上から順にハイレゾウォークマン、iPhone6、アンドロイドスマホ Galaxy S8、Xperia Z3のイヤホンジャック(アナログ出力端子)の例です。 赤い丸をつけた穴にAUXケーブルを挿します。
AUXジャックとは?
次に、車のAUXジャックとは、カーナビ・カーオーディオに標準装備の音楽ソースであるラジオやCD・SDカードといったメディアに対し、ウォークマン・iPod・スマホなどの外部機器が接続できる予備の入力端子のことを指します。
そもそもAUXとは、「補助の」、「予備の」などの意味を持つ英語の「Auxiliary」の最初の3文字「AUX」が起源です。 つまり、AUXジャックとは、「補助端子」、「予備端子」といった意味になります。 何かをあとから接続できる予備的な端子と捉えると分かりやすいと思います。
上図はカーオーディオの操作パネルの中に直接AUXジャックが設置されている場合の例です。
イヤホンジャック・AUXジャックの大きさと入出力
サイズ・規格としては、イヤホンジャック・AUXジャックどちらも直径3.5mmのサイズのミニプラグと呼ばれるものが挿せるジャック・端子となります。
また、AUX端子に接続される信号は、基本的に双方向に流れるの通信信号では無く片方向に流れる一方通行の信号であるため、
- ジャック・端子への入力:AUX INジャック・端子
- ジャック・端子からの出力:AUX OUTジャック・端子
の2パターンが存在します。
たぶん最も馴染み深いのがまさにスマホ・ウォークマン・iPod等のイヤホン出力ジャックであり、スマホ等の電子機器の中で再生された音楽信号をイヤホンやカーナビ・カーオーディオ等の外部スピーカーに向けて出力するので、AUX OUTジャック・端子と考えることができます。
逆に車のAUXジャックは、スマホ・ウォークマン・iPod等で再生される音楽信号が入力される側となるので、AUX INジャック・端子となります。
なぜイヤホンジャック・AUXジャック接続にこだわるのか?
ここで改めて、なぜスマホ等とカーナビ・カーオーディオの接続方法として、イヤホンジャック~AUXジャック接続にこだわる必要があるのか考えてみます。
一言で言うと、イヤホンジャック~AUXジャックを使ってAUXケーブル(ステレオミニプラグケーブル)で接続すると高音質かつ汎用性が高いからです。
詳しくは、こちら”車でスマホ・ウォークマンの音楽はAUX接続で聴くべき6つの理由“の記事に書かせていただきましたが、AUX接続のメリットは、例えば、高音質の観点だとハイレゾ相当の音質再生のポテンシャルを持っていたり、汎用性の観点だとケーブル挿すだけの超簡単接続設定不要・スマホの音楽聴き放題サービス等多くのメディアに広く対応できることだったりと、とても多いのです。
つまり、イヤホンジャック・AUXジャックの衰退の流れは、車の中で音楽を聴く場合の高音質かつ汎用的な接続方式が使えなっていくことを意味するのです。
イヤホンジャック・AUXジャック廃止の動向
次に、スマホのイヤホンジャック廃止、カーナビ・カーオーディオのAUXジャック廃止の動向について改めて整理してみます。
一例ですが、上図右側がGalaxy S8(イヤホンジャック:有)、左側がGalaxy S20(イヤホンジャック:無)です。 それぞれの四角囲みがUSB(type-C)ジャック、右図の丸囲みがイヤホンジャックです。
Galaxyに限らず、主要メーカーのスマホでは新機種になるタイミングでイヤホンジャックの廃止が進んでいます。
- スマホ:2016年以降、アップル・サムスン等の主要メーカーでイヤホンジャック廃止
- 車:トヨタでは2016年以降のディーラーオプションT-connectナビ、2019年秋以降のメーカーオプションオーディオ(DA)と合わせてAUXジャック廃止
初めにも書きましたが、2016年のiPhone7のイヤホンジャック採用中止が1つの大きなきっかけとなり、スマホだけでなく車のカーナビ・カーオーディオでも3.5mmミニタイプのAUXジャックの廃止が進んできています。
ちなみに車のAUXジャックは、カーオーディオ・カーナビ本体の操作パネル周辺だけでなく、
- カーオーディオ・カーナビの操作パネル周辺
- グローブBOX(助手席正面の小物入れ)の中
- センターコンソールBOXの中・周辺
など様々な場所に設定されている場合が多いです。
グローブBOXの中にある場合の例です。 左側のケーブル先が少し太くなっている部分です。
オーディオ操作パネル下・センターコンソール付近にある場合の例です。
これらのAUXジャックが、スマホのイヤホンジャック同様、徐々に廃止されつつあります。
スマホのイヤホンジャック廃止動向
以下の通り、イヤホンジャック廃止の先陣を切ったのはiPhoneでした。 当時は非常に衝撃的でしたが、結局iPhoneに遅れること2年でXperiaが同様に廃止に、送れること4年でGalaxyが廃止に踏み切りました。
- iPhoneシリーズ:iPhone6s(2015年)→iPhone7(2016年)でイヤホンジャック廃止
- Galaxyシリーズ:Galaxy S10(2019年)→Galaxy S20(2020年)でイヤホンジャック廃止
- Xperiaシリーズ:Xperia XZ1(2017年)→Xperia XZ2(2018年)でイヤホンジャック廃止
(ただし、Xperia1, Xperia10(2019年)→Xperia1 II, Xperia10 II(2020年)でイヤホンジャック復活)
ただし、Xperiaは廃止の2年後2020年にもう一度イヤホンジャックを復活させており、業界内でも非常に注目されています。
とは言え、ほぼ時代の趨勢を支配しているiPhoneがイヤホンジャック復活に返り咲くことは無いと考えられます。 Bluetoothイヤホンである AirPodsの強烈な推し具合を考えると・・・。
車のAUXジャック廃止動向
主要自動車メーカーということでトヨタのカーナビ・カーオーディオラインナップについて調べてみると、AUX廃止の先陣を切ったのはディーラーオプションナビでした。
続いて3年遅れてメーカーオプションナビのAUX廃止が始まり、アフターパーツのAUX廃止はまだごく一部のメーカー・モデルにとどまっている印象です。
- トヨタメーカーオプションカーナビ・カーオーディオ:2019年以降の改良モデルよりDA(ディスプレイオーディオ)標準装着と合わせてAUXジャック廃止
- トヨタディーラーオプションオプションカーナビ:2016年モデルよりアナログ音声が入力可能なAUXジャック・VTRジャックが選択不可(最廉価エントリーナビ除く)
- アフターパーツ:KENWOOD彩速ナビ=AUX廃止済、Carrozzeriaサイバーナビ・楽ナビ=AUX継続装備、Panasonicストラーダ=AUX継続装備
ディーラーオプションナビでは、AUXジャックを継続装備させたエントリーナビを最廉価ラインナップに残したことと、万が一AUX装備の強いニーズが合ってもアフターパーツ取付の互換性があることの2点から早期にAUXジャック廃止に踏み切ったと想定できます。
逆に、多機能さと汎用性の高さが求められるアフターパーツのカーナビ・カーオーディオでは、最もAUX廃止の流れが遅いと言えます。 AUXジャックが継続装備されているカーナビ・カーオーディオを選ぶなら、アフターパーツから選ぶのが最も選択肢が広いと言えます。
とは言え、AUX廃止の流れは少しづつ進行しています。
イヤホンジャック・AUXジャック廃止への対応策概要
続いて、スマホのイヤホンジャック廃止、カーナビ・カーオーディオのAUXジャック廃止に対する具体的な対策方法について紹介させていただきます。
スマホのイヤホンジャック廃止への対応策
まずは、スマホのイヤホンジャック廃止への対応策です。 スマホをイヤホンジャック装備モデルに買い替えるとかを除けば、以下3つの接続方法で対応することになります。
- USB Type-C/ライトニング~ステレオミニジャック変換アダプタを利用したアナログ有線接続
- USB Type-C/ライトニング~USBケーブルを利用したデジタル有線接続
- Bluetoothを使ったデジタル無線接続
USB Type-C/ライトニング~ステレオミニジャック変換アダプタを利用したアナログ有線接続による対応方法
まず、一番シンプルかつ汎用的な対応方法です。
USB Type-Cまたはライトニングなどのデジタル出力端子にアナログ変換アダプタを装着する方法です。 具体的な接続関係は以下の通りです。
- アンドロイドの場合:スマホ⇔USB Type-C~イヤホンジャック変換アダプタ⇔AUXケーブル⇔AUXジャック
- iPhoneの場合:iPhone⇔ライトニング~イヤホンジャック変換アダプタ⇔AUXケーブル⇔AUXジャック
USB Type-C~イヤホンジャック変換アダプタの例です。
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次にライトニング~イヤホンジャック変換アダプタの例です。
応用例として、イヤホンジャック変換変換アダプタの代わりに以下のようなUSB-DACを使うことで、高音質化を行うこともできます。
実は私も下図のように変換アダプタの代わりにUSB-DACを使い、レクサスマークレビンソンのサウンドシステムと組み合わせて愛用しています。
ホームオーディオで言うところのプリアンプにもなり、車内環境ならではのSN比改善にも効果的です。
ちなみに、上記USB-DAC(SHANLING UA2)をiPhoneと組み合わせて使用する場合は、追加で以下のUSB-OTGケーブルが必要です。
フィーオ Lightning端子搭載ポータブルデバイスに対応したOTGケーブルFiiO FIO-LT-LT1
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iPhoneとSHANLING UA2を接続する場合、もう少しリーズナブルに済ませたい場合は、上記USB-OTGケーブルの代わりに以下の Lightning-USB変換カメラアダプタでも対応可能です。 私はこちらの接続方法を使用しています。
また、これらの変換アダプタやUSB-DACを毎回外出時に持ち出すのは面倒かもしれませんが、カーオーディオ接続専用であれば、真夏の炎天下を避けるなど駐車環境に配慮した上で車内に置きっぱなしにしておくのも手です。
これなら実質不自由無しです。
USB Type-C/ライトニング~USBケーブルを利用したデジタル有線接続による対応方法
次にUSBケーブルを使用してデジタル接続する方法です。
お使いのスマホがiPhoneの場合は対応しているカーナビ・カーオーディオも多いのですが、お使いのスマホがアンドロイドの場合は基本的にカーナビ・カーオーディオのアンドロイドオート対応が必要となります。
詳しくは、こちら”アンドロイドオートと単なるUSB接続は別!知っておきたい注意点3つ“の記事に書かせていただきましたが、単なるUSB接続はアンドロイドスマホ非対応なのです。
具体的な接続関係は以下の通りです。
- アンドロイドの場合:スマホ⇔USB Type-Cケーブル⇔USBジャック(アンドロイドオート対応必須)
- iPhoneの場合:iPhone⇔ライトニング~USBケーブル⇔USBジャック
Bluetoothを使ったデジタル無線接続による対応方法
最後にBluetooth接続を使ったデジタル無線接続です。
スマホ=100% Bluetooth対応済、最近のカーナビ・カーオーディオ=ほぼ100% Bluetooth対応済なので、こちらもかなり汎用的な接続方法と言えます。
ただし、Bluetooth接続と一言で言っても様々な接続タイプ(A2DPコーデックやAVRCPバージョン)があり、音質や操作性が大きく違ってきます。
音質については、多くのカーナビ/カーオーディオではBluetooth A2DP標準対応の音質の良く無いSBCコーデックにしか対応していないのが実情です。
こちら”Bluetoothを車・カーナビで使うとき知っておきたい4つの注意点“の記事に詳しく書かせていただきましたが、Bluetooth接続を使う場合は音質が低下することがあるので、注意が必要です。
車のAUXジャック廃止への対応策
車のAUXジャック廃止への対応策です。 スマホのイヤホンジャック廃止対応と同じく、カーナビ・カーオーディオを対応モデルに買い替えるとかを除けば、以下2つの接続方法で対応することになります。
- USB Type-C/ライトニング~USBケーブルを利用したデジタル有線接続
- Bluetoothを使ったデジタル無線接続
具体的な接続方法は、前章のスマホのイヤホンジャック廃止対応策に書かせていただいた通りです。
USBの場合は音質良いものの対応機種が限られるため汎用性が低く、Bluetoothの場合は対応機種が多いものの音質が悪くケースが多いため、なかなか完全な対応策が無いのが実情です。
つまり車の中では、世間で騒がれているスマホのイヤホンジャック廃止より車のAUXジャック廃止の方が実は大きな問題なのです。
ここでは携帯用の音楽プレーヤーとして主にスマホを想定して書かせていただいてますが、実は地味に一番困るのがハイレゾウォークマンのカーナビ・カーオーディオへの接続です。
私も含めて高音質を求めてハイレゾウォークマンを使用しているのですが、車のAUXジャックが無い場合に高音質に接続しようとすると、BluetoothではなくUSBで接続したくなります。
しかし、こちら”アンドロイドオートと単なるUSB接続は別!知っておきたい注意点3つ“に書かせていただいた通り、アンドロイド端末をUSB接続するためにはアンドロイドオート接続が必要です。
最近ではアンドロイドオート対応のカーナビ・カーオーディオが増えてきましたが、アンドロイドOS搭載のハイレゾウォークマンは実はスマホとは違ってアンドロイドオート非対応なのです。
カーナビ・カーオーディオ使用環境ごとの対策要否と対策案まとめ
最後に、「みなさまが現在お使いの状況それぞれに合った対策は何か?」を簡単にご理解いただくため、カーナビ・カーオーディオの使用環境ごとに分けて、対策方法をまとめてみます。
以下の通り、4つのパターンとなります。
パターン1):カーナビ・カーオーディオがアンドロイドオート・カープレイ対応の場合
車・スマホの前提条件は以下の通りです。
- 車(カーナビ・カーオーディオ):アンドロイドオート・カープレイ対応、AUXジャック有無は無関係(どちらでも問題なし)
- スマホ:イヤホンジャック有無は無関係(どちらでも問題なし)
→対策不要、USBケーブルを使ったUSB(アンドロイドオート・カープレイ)接続が可能でありベストな接続方法でもあります。
パターン2):アンドロイドオート・カープレイ非対応かつAUXジャック有、スマホもイヤホンジャック有の場合
同じく、車・スマホの前提条件は以下の通りです。
- 車(カーナビ・カーオーディオ):アンドロイドオート・カープレイ非対応、AUXジャック有
- スマホ:イヤホンジャック有
→対策不要、AUX(ステレオミニプラグ)ケーブルを使ったAUX接続が可能でありベストな接続方法でもあります。
パターン3):アンドロイドオート・カープレイ非対応かつAUXジャック有、スマホはイヤホンジャック無の場合
同じく、車・スマホの前提条件は以下の通りです。
- 車(カーナビ・カーオーディオ):アンドロイドオート・カープレイ非対応、AUXジャック有
- スマホ:イヤホンジャック無
→対策必要、スマホにイヤホンジャック変換アダプタをセットすることでAUX接続が可能となりベストな接続方法となります。
パターン4):アンドロイドオート・カープレイ非対応かつAUXジャック無の場合
同じく、車・スマホの前提条件は以下の通りです。
- 車(カーナビ・カーオーディオ):アンドロイドオート・カープレイ非対応、AUXジャック無
- スマホ:イヤホンジャック有無は無関係(どちらでも問題なし)
→対策必要、最も厳しいパターンですが以下3通りの対策案が考えられます。
- 対策案A:車のAUXジャック追加(カーナビ・カーオーディオの機種により追加不可能な場合あり)
- 対策案B:Bluetooth接続 or FMトランスミッター接続(まだ手軽だが音質が良くない)
- 対策案C:アンドロイドオート・カープレイ対応のカーナビ・カーオーディオに買替(今後を考えるとおすすめだが費用が必要)