最近のカーナビ・カーオーディオは当たり前のようにUSBポートを装備しています。
実は、USBポートの使い道はいろいろあり、
- スマホなどデジタル機器の充電
- 音楽ファイルが保存されたUSBメモリ等の音楽ストレージメディアの接続
- アンドロイドオート・アップルカープレイ等のスマホ連携通信
等々が考えられます。
さらにUSBを使えば、充電しながら同時に音楽を聴けるのでバッテリーの減りが防止できたり、デジタル信号で音楽を送れるので高音質に聴けたり、様々なメリットがあります。
しかし、アンドロイドオート機能に対応していないカーナビ・カーオーディオの場合、たとえUSBポートを搭載していたとしても、アンドロイドスマホだと接続不可能なケースが多いのです。
下図は、私が使用しているダイヤトーンサウンドナビにアンドロイドスマホ(SONY Xperia Z3)をUSB接続しようとした場合の例です。
実は、アンドロイドオート非対応でUSB対応のカーナビ・カーオーディオは多く存在するものの、ほとんどのモデルがアンドロイドスマホは接続不可能でiPhoneまたはUSBメモリのみ接続可能なのです。
つまり、アンドロイドスマホはカーナビ・カーオーディオがアンドロイドオートに対応することで初めてiPhoneと同じレベルのUSB接続が可能になりました。
iPhoneのUSB接続については、こちら”iPhoneの音楽を車でUSBで聴く時の3つの注意点“の記事にまとめてみましたので、もしよければご参考にどうぞ。
iPhoneが10年以上前・カープレイ対応前から当たり前のようにUSB接続できていたことを考えると、なぜこんなに時間がかかったのかは不思議ですが、ようやくアンドロイドユーザーにも優しい時代が来たのです。
一方で、Bluetooth接続を使えばUSB接続を使わなくても音楽を聴くこと自体はできます。
しかし冷静に比較してみると、Bluetoothと比べてアンドロードオート・USBには高音質や操作性の良さなど多くのメリットがあります。
詳しくは、こちら”アンドロイドオートとBluetoothの音楽接続で実は大きく違う4つの点“の記事で徹底的に比較調査してみましたので、もしよければご参考にどうぞ。
ここ数年、アンドロイドオート(Android Auto)の対応車種が急増しています。
これまでマツダのMAZDA Connectなど一部の国産車や、VW(フォルクスワーゲン)のDiscover Proなど一部の輸入車は、アンドロイドオートに対応していましたが、ついに国内シェアNo.1のトヨタが2019年からカローラ・カローラツーリング・カローラスポーツ、カムリ、CH-R、アルファード・ヴェルファイア、ヤリス、ヤリスクロス、RAV4、ハリアーと立て続けにアンドロイドオート対応のディスプレイオーディオを標準装備させ販売開始しました。
もちろん純正オーディオがアンドロイドオート・アップルカープレイ対応していない場合でも、下図はのようなカロッツェリア(パイオニア)等のアフターパーツを使えば、後から対応させることもできます。
パイオニア カーオーディオ カロッツェリア DMH-SZ700 6.8型 Amazon Alexa搭載 AppleCarPlay AndroidAuto™...
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そしてアンドロードオート・アップルカープレイ対応車の増加により、車内で音楽を聴くスタイルは今後大きく変わっていくと考えられます。
よってここでは、iPhoneユーザーの間ではずっと主流だったUSB接続に対してアンドロードオート・アップルカープレイ接続は「何が違うか?、何ができるか?」を大きく3つのポイントに分けて書かせていただきます。
アンドロードオートとアップルカープレイは対応スマホが違うだけで、基本的にできることは同じです。
ここでは、私が実際に使用しているアンドロードオートを例に書かせていただきます。
私自身、アンドロイドオートについては、愛車 VW(フォルクスワーゲン) ティグアンのDiscover Proで2年以上使い倒してきた経験がありますので、それなりに濃い内容が書けると自負しています。
- アンドロイドスマホをお使いで車でよく音楽を聴かれる方
- アンドロイドオート・カープレイ対応車に既にお乗りの方
- アンドロイドオート・カープレイ対応車の購入検討をされている方
- アンドロイドオート・カープレイ対応のカーナビ・カーオーディオの購入検討をされている方
には特に参考になるかと思います。
車のUSBポートの使い道とは?
まず初めにそもそも、車のUSBポートの役割について整理してみます。
一言で言うと、
- 音楽再生やスマホ連携に関するUSB通信機能
- スマホ等のデジタル機器に給電するUSB充電機能
の大きく2つがあります。
ここでは、特に1つ目のUSB通信機能についてさらに、
- 単なるUSB接続で実現できる音楽再生機能
- アンドロイドオート・カープレイ等のUSB接続で実現できるスマホアプリ連携機能
と2つに分類し、その違いについて詳しく整理していきたいと思います。
アンドロイドオートとは?
次にアンドロイドオートが何かについて、簡単に書かせていただきます。
アンドロイドオートは、Googleによって作られたアンドロイドOSがインストールされているスマートフォン、いわゆるアンドロイドスマホやアンドロイドタブレットを使っている人なら誰でも無料で使えてしまうカーナビ+カーオーディオ用の統合アプリです。
以下のようにGoogle Play Storeで「アンドロイドオート」と検索すれば表示されます。 スマホやタブレットにまだアンドロイドオートがインストールされていない場合は、インストール後すぐに使用できます。
ちなみにこのアンドロイドオートは、正確にはアンドロイドOS のバージョン5.0以降でしか使えませんが、
- Android OS 5.0(Lollipop):2014年リリース
- Android Auto アプリ:2015年リリース
なので、かなり時間が経った今ではほとんどのアンドロイド(スマホ・タブレット)ユーザーが使える状態にあると言えます。
車の中での使用シーンとしては、アンドロイドオート対応のカーナビ・カーオーディオとアンドロイドスマホをUSBケーブルで接続すれば使うことができます。
ちなみに、今のところ日本ではWi-Fi等の無線(ワイヤレス)接続でアンドロイドオートを使うことはできません。
アンドロイドオートとは違うUSB接続と注意点概要
次に、本題のアンドロイドオートと単なるUSB接続で音楽を聴く場合に大きく違う点です。
以下3点です。
- 1) 単なるUSB接続=ほぼアンドロイドスマホ非対応(iPhoneやUSBメモリには対応)
- 2) 単なるUSB接続=スマホの音楽アプリ使用不可
- 3) 単なるUSB接続=カーナビ・カーオーディオの再生能力に依存
詳細について、次章より順に書かせていただきます。
ちなみに、次章より書かせていただく内容は以下の環境を使って確認しました。
- 使用カーオーディオユニット:VW純正 Discover Pro 9inchモデル、三菱電機ダイヤトーンサウンドナビ、トヨタプリウス純正ナビ
- 使用スマホ:Sony Xperia Z3、Samsung Galaxy S8
- 使用アプリ:Amazon Music、Sony ミュージックアプリ、Rocket Player、Radsone Hi-Res Player、Google Play ミュージックアプリ
1) 単なるUSB=ほぼアンドロイドスマホ非対応
まず1つ目の注意点は、「単なるUSB接続=ほぼアンドロイドスマホ非対応(iPhoneやUSBメモリには対応)」ということです。
最初にも書かせていただきましたが、カーナビ・カーオーディオの世界では、ほとんどのUSB接続端子がiPhone系のスマホ・USBメモリには対応していますが、アンドロイドスマホには非対応です。
コネクタの形は合うので、「USBケーブルは挿せるにもかかわらず、エラーメッセージが表示されて使えない」という悲しい状態になる場合が多いのです。
アンドロイドスマホ非対応のUSB接続
上図は、ダイハツコペンに装着されているダイヤトーンサウンドナビにアンドロイドスマホ(SONY Xperia Z3)をUSB接続した場合の例です。
「このUSBデバイスはサポート対象外です」と表示されます。
また、上図の通り取扱説明書にも「iPod/iPhone」や「USBデバイス(USBメモリ)」という言葉は登場しますが、iPhone以外の一般的なスマホ(アンドロイドスマホ)は言葉すら登場しない状況です。
アンドロイドスマホ対応のUSB接続
先ほどのUSB非対応の例に対し、上図はVWに純正装着されているカーナビDiscover Proに先ほどと同じアンドロイドスマホ(SONY Xperia Z3)をUSB接続した場合の例です。
ディスプレイには再生中の曲情報だけでなくジャケットのアートワークまで表示されています。
あらためて、上図はDiscover Proのオーディオソース切替画面ですが、ちゃんとUSBモードを選択することができます。
このようにUSB接続モード時にアンドロイドスマホを接続できるカーナビ・カーオーディオも存在はするものの、まだ数が少ないのが実情です。
2) 単なるUSB=スマホの音楽アプリ使用不可
次に2つ目の注意点は、スマホを接続するにも関わらず、「単なるUSB接続=スマホの音楽アプリ使用不可」ということです。
スマホをUSB接続する場合、スマホは単なるファイル置き場となり、音楽を再生するアプリつまりソフト制御を行う頭脳的な部分はカーナビ・カーオーディオ本体の中のソフトとなります。
よって、言い換えるとカーナビ・カーオーディオの音楽プレーヤーからの再生のみ利用可能です。
なので、例えばスマホの中の音楽アプリを使わないと再生できないパターンのAmazon Musicなどの音楽聴き放題アプリは使用不可となります。
USB接続時に使える音楽アプリ
上図はUSB接続時のカーナビ・カーオーディオ内蔵アプリでの再生中画面の表示例です。
Amazon Musicなどの音楽聴き放題アプリを除き、スマホの中にファイルとして保存されている音楽データに限り再生可能です。
アンドロイドオート接続時に使える音楽アプリ
上図はアンドロイドオート接続時に使用可能な音楽アプリの一覧の例です。
アンドロイドオート非対応アプリはホーム画面にも表示されず使用不可ではあるものの、スマホの中の音楽アプリをそのままカーナビ・カーオーディオのディスプレイからコントロール可能です。
再生中画面の表示例としては上図の通りとなります。
もちろん、アンドロイドスマホには対応していてもアンドロイドオートには対応していないアプリもあります。
- Amazon Music →アンドロイドオート対応
- Sony ミュージックアプリ →アンドロイドオート対応
- Rocket Player →アンドロイドオート対応
- Radsone Hi-Res Player →アンドロイドオート非対応
- Google Play ミュージックアプリ →アンドロイドオート対応
上記の例では「Radsone Hi-Res Player」はアンドロイドオート非対応アプリですが、わりと多くのアプリが対応していると言えます。
また、アンドロイドオートは日々バージョンアップしているので、今使えなくても今後使えるようになる可能性もあります。
いずれにせよ、カーナビ・カーオーディオ内蔵の1つの音楽アプリしか使えないUSB接続と比べるとはるかに自由度が高いと言えます。
3) 単なるUSB=カーナビ・カーオーディオの再生能力に依存
最後、3つ目の注意点は、「単なるUSB接続=カーナビ・カーオーディオの再生能力に依存」ということです。
再生能力として分かりやすいのが以下2点です。
- カバーアート・ジャケット表示能力
- ファイルフォーマット対応能力
アンドロイドオート接続時のカバーアート表示
上図はアンドロイドオート接続時のカバーアート・ジャケット表示です。
曲名、アーティスト名、再生時間と共に正しくカバーアート・ジャケットが表示されています。
上図は使用アプリAmazon Musicの例ですが、アンドロイドオートの場合、Amazon Musicに限らず他のアプリでも多少のレイアウト違いはあるもののスマホと同じようにカバーアート表示は可能です。
USB接続時のカバーアート表示
アンドロイドオート接続時に対し、USB接続時のカバーアート表示は、カーナビ・カーオーディオの再生性能に依存する結果となります。
例えば、スマホで下図のように表示されている曲をカーナビ・カーオーディオにUSB接続した場合、同じように表示されるとは限りません。
今回の例では、上記スマホの中の音楽データをUSBメモリに移動させ、トヨタプリウスの純正ナビで再生させてみました。
当然、スマホでは全ての曲のカバーアート・ジャケット表示が問題無くOKの状態です。
ちなみに、これらの楽曲のジャケット表示等の曲情報は自分でタグ編集ソフトで作成・編集など手を加えたものでは無く、iTunes ストアからダウンロード購入したままの状態のデータとなります。
トヨタプリウスの純正ナビでのJADEのカバーアート表示
上図の通り、問題無く、スマホと同じようにJADEのカバーアート・ジャケット表示はOKです。
トヨタプリウスの純正ナビでのScarlet Love Songのカバーアート表示
先ほどのJADEと同様、Scarlet Love Songでも問題無くカバーアート・ジャケット表示はOKです。
トヨタプリウスの純正ナビでのBorn to be freeのカバーアート表示
JADEとScarlet Love Songでは問題無しだったカバーアート・ジャケット表示が、Born to be freeでは非表示の状態です。
もちろん、スマホではちゃんと表示されていたのと全く同じ音楽ファイルを使用しています。
このように、スマホでは正しく表示されているカバーアート・ジャケットであっても、カーナビ・カーオーディオの再生性能では表示されない場合があります。
また、カバーアート・ジャケット以外にも再生可能なファイルフォーマットもカーナビ・カーオーディオの再生性能に依存します。
例えば、最近普及しつつあるハイレゾ音源フォーマットであるFLACフォーマットのファイルは、ほとんどのスマホでは既に再生可能ですが、一部のカーナビ・カーオーディオはFLAC非対応のモデルもまだ多く存在しています。
一般的な話ではありますが、スマホのソフトは日々バージョンアップされ、不具合の改善や新しい技術への対応が実施されています。
これに対し、現在の多くのカーナビ・カーオーディオでは、購入時点では最新の技術・性能であっても使っているうちに発覚した不具合や購入時点以降に出た新技術への対応、すなわちオンラインアップデートのようなものはまだ未対応のものが主流です。
現状、行われているオンラインアップデートとしては、カーナビの地図データくらいがほとんどであり、制御ソフトウェアの更新はあまり行われていません。
以上より、同じような接続方法に見えるものの、多くの点において単なるUSB接続よりアンドロイドオート接続の方が圧倒的に高性能で有利と言えます。