“クルマで音楽を聴く時の音質をもっと良くしたい!“クルマに乗る機会が多い人ほど、音楽が好きな人ほど、そう思うのではないでしょうか?
そういう私も全く同じ思いです。 私も、音楽・クルマ大好き人間です!
しかし、一般的には”クルマの音を良くする = スピーカーやカーオーディオを交換・チューニングする“というイメージが強く、極端な話、”スピーカーやカーオーディオを交換・チューニングすることが唯一の音を良くする方法である”と思われがちです。
違うんです! 確かに、カーオーディオを交換・チューニングを正しい方法で徹底的に行うことで音を良くすることはできますが、他にももっとお手軽な方法があるんです!
よって、ここでは今すぐできる、場合によっては¥1もかからないかもしれない音質向上方法を紹介していきます。 具体的には、クルマのオーディオシステムを取りまく環境のうち音楽ソースなど入力側の環境にスポットを当て、比較的お手軽に行える音質向上方法について書いていきます。
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クルマのオーディオシステムの入力側環境において音質が低下する原因の分析結果については、こちらの”知らない人は損してる!?車の音質が低下する3つの原因[入力編]“の記事をご覧ください。
また、お手軽に・・・というよりは劇的に音質を改善したい場合の具体的な音質向上方法については、こちらの”カーオーディオの音質を劇的に向上させるたった2つの基本的方法!“の記事をご覧ください。
ソース・メディア種類変更による車の音質向上方法
Bluetooth(SBC)はCDよりビットレート換算で7倍以上低音質
こちらの”知らない人は損してる!?車の音質が低下する3つの原因[入力編]“の記事でも書きましたが、音質を決定づける1つの指標としてビットレートを使い、現時点で多くの方に使用されているメディアを一覧に整理すると、
- FMラジオ:約96kbps
- mp3/AACなどの圧縮データをBluetooth A2DP(SBC)接続:事実上64~約200kbps
- MD(ATRAC):292kbps (MDLP 2倍モード:146kbps)
- mp3/AACなどの圧縮データを記録したメディア:事実上64~320kbps
- mp3/AACなどのネット配信データを記録したメディア:事実上64~320kbps
- ネット配信・圧縮音源~FLAC/DSDなどのハイレゾ音源をBluetooth A2DP(LDAC)接続:最大990kbps
- 音楽CD(-DA)のコピーデータを記録したCD-Rなどのメディア:1,411kbps
- 音楽CD(-DA):1,411kbps
- 音楽CD(-DA)からのリッピングデータを非圧縮・可逆圧縮で記録したメディア:1,411kbps
- 音楽CD(-DA)からのリッピングデータをアップスケーリングして再生:疑似的に1,411kbps以上
- FLAC/ALAC/DSDなどのネット配信データが記録されたメディア:事実上1,411kbps以上
となります。
ビットレートを1秒間に耳に入ってくる音楽データの量と考えると、一般的にはその数字が大きいほうが情報量的に多く、録音元である生演奏やスタジオ録音中の音により近いもの=いい音であると言えます。 ですので、上記リストの上の方のビットレート低めのメディアで音楽をお聴きの方は、リストの下の方のビットレート高めのメディアに変えることで、根本から音質をよくすることができます。
例えば、最近よく利用されるBluetoothですが、Bluetoothの中でも最も一般的なSBCという標準のコーデック(通信時の圧縮方式)を使う場合、効率的にワイヤレスでデータ通信を行うために、音楽データは自動的に約200kbps以下とかなりコンパクトに圧縮されます。 これは、Bluetoothを経由することで音楽CDのデータだと7分の1ものデータ量に減ってしまうことを意味します。 さらにBluetoothのSBCは、いわゆる非可逆圧縮なので圧縮する時に捨てられたデータは元に戻すのは不可能です。
ちなみに、Bluetooth標準コーデック”SBC”の弱点である音質等の改善手段として”LDAC“等のBluetooth A2DPで使える新たな高音質コーデックが登場しています。 LDACの場合、音質に直接影響するビットレート上のスペックでいうと、下図のようにハイレゾ音源の転送にも耐えれる最大990kbpsというスペックを持っています。
これは、SBCの約3倍に相当します。 ちなみに、SBCは理論上最大でも328kbps(実質は200kbps程度)であり、下図の通りCD音質よりも大幅に音質低下してしまうのです。
音楽ファイル作成時はビットレートを低下させないよう注意
同様に現在mp3をCD-Rに焼いて聴いていらっしゃる方は、自分の耳で判別できる限りビットレートを高く設定したりmp3をやめて音楽CD(CD-DA)のフォーマットとしてCD-Rに焼いたりすると音質が向上します。
また、ポータブル機器の中の音楽データフォーマットとして現在mp3などの非可逆圧縮フォーマットをお使いなら、同じく自分の耳で判別できる限りビットレートを高く設定したりFLACなどの非圧縮・可逆圧縮フォーマットやハイレゾ音源を利用したりすることで、音質が向上します。 ただし、一度非可逆圧縮フォーマットでビットレートを下げてしまった音源からそのままビットレートだけ上げても音質向上は期待できません。 ビットレートを見直す場合は、できる限り高いビットレートのオリジナルの音源からの再エンコードがおすすめです。
さらに最近のウォークマン等にはアップスケーリングと呼ばれるCD(-DA)以下の解像度の音源をハイレゾ音源相当に疑似的に変換して再生できるものもあります。 ウォークマンやSONY製のアンプに搭載されているDSEE-HXやビクターのポータブルアンプに搭載されているK2などが有名です。 FLAC/ALAC/DSDなどのネット配信メディアがまだまだタイトル数的に少ない中で”高音質再生”を求めるには非常に強力な手段と考えられます。
ただし、アップスケーリングとはあくまで擬似的に情報量を増やす処理であり、本来あったオリジナルの生演奏を完全再現するものではありません。 アップスケーリングのアルゴリズム(実際の処理方法)には様々なものがあり、ただ単にファイルサイズだけ大きくなる粗悪なものもありますので、注意が必要です。(SONYのDSEE-HXなどであれば、私も効果を実感できておりますし、信頼がおけると考えています)
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現時点での音質最強メディアはハイレゾかCD
先ほどの様々な音楽メディアのビットレート一覧からの1つの結論として、現時点である程度の流通量のある音質のよい最強の音楽メディアは、
- 音楽CD(-DA)
- 音楽CD(-DA)からのリッピングデータを非圧縮・可逆圧縮で記録したメディア※
- 音楽CD(-DA)からのリッピングデータをアップスケーリングして再生したもの※
- FLAC/ALAC/DSDなどのネット経由ハイレゾ配信データ
であるといえます。 ※印をつけたメディアは流通しているメディアそのものではありませんが、音質もポータビリティー(可搬性)も非常にいい上に誰でも簡単に実現できるため、あえてリストに入れました。 音質を求めるなら、上記メディアの使用をオススメします。
最近耳にすることが多くなってきた”ハイレゾ“ですが、非常に高音質というメリットはあるものの、クルマの中で楽しむにはまだ少し一般的ではないのもまた事実です。 しかし、少しの工夫で意外と簡単にクルマで聴くことができてしまいます。 こちらの”誰でも簡単にハイレゾオーディオを車で楽しむ方法“の記事で“ハイレゾ”とは何かも含めハイレゾを手軽にクルマで聴く方法をハード面(再生機器や接続方法)中心にまとめ、こちらの””の記事で“ハイレゾ音源”のお得な入手方法などソフト面中心にまとめましたので、もしよろしければご覧ください。
ところで、ハイレゾ配信データ同等に高音質でしかも前々から存在してるSACD(Super Audio CD)やDVD-Audioといったメディアもありますが、流通量を考えるとかなりマイナーです(音質オタク(笑)な私は持ってます)。 また今後のハイレゾ配信データの普及によりさらに衰退に追い込まれることが想定されるため、あえて上記リストには含めませんでした。
音質とポータビリティーとのトレードオフ
ただし、音質をよくするために1秒間に耳に入ってくる音楽データの量を多くするということは、音楽データのサイズが大きくなるということに注意しなければなりません。
例えば、iPodやウォークマンに入れて音楽を持ち歩く場合、クルマのナビのハードディスクに入れて音楽を聴く場合、音をよくすればするほど中に入れることができる曲の数が減ってしまうのです。
よって、実際は自分が持ち出したい曲の数と音質のバランスを考えなければいけないというのが現状です。
CDでも同じです。 上記のとおり、CDは現状かなり音質のよいメディアと言えますが、アルバム1枚=ディスク1枚です。 持ち運び性が非常に悪く正直めんどくさいです(笑)。 メディア容量がかなりのスピードで進化していかない限り、ポータビリティー(携帯性のよさ)と音質はトレードオフ(二律背反)なのです。
ポータブル機器の接続方法変更による車の音質向上方法
こちらの”知らない人は損してる!?車の音質が低下する3つの原因[入力編]“の記事でも書きましたが、利便性や接続互換性解決のためには仕方ないことかもしれませんが、音質という面からみると無線接続よりも有線接続の方が有利なことが多いです。
結論から言うと、スマホやウォークマンなどのポータブル機器側、メインユニット側の両方を有線接続対応させることができるのであれば、
- FMトランスミッターで無線接続 [アナログ接続]
- Bluetooth A2DPで無線接続 [デジタル接続]
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- AUX端子どうしをオーディオ接続ケーブル(ミニステレオプラグまたはRCAピンプラグが主流)で有線接続 [アナログ接続]
- USB端子どうしをUSB専用接続ケーブルで有線接続 [デジタル接続]
と有線接続に変更するのが音質的にはよいと言えます。
下の写真は、ウォークマンのヘッドホンアウト端子とカーオーディオのAUX端子をオーディオ接続ケーブルでつないだ例です。 ちなみに私KYOの使用状態そのものです(笑)。
ちなみに、Bluetoothの無線接続の便利さがやめられないけど音質も向上させたいという方は、こちら”こんな方法があったのか!音質を犠牲にしないBluetooth活用方法“、”Bluetoothを車・カーナビで使うとき知っておきたい4つの注意点“の記事にBluetooth関連の情報をまとめましたので、もしよければご参考にどうぞ。
また、ハイレゾオーディオに限定した書き方になってしまってますが、こちらの”ハイレゾ音楽プレイヤーとカーオーディオの接続方法は4種類あった!“の記事でポータブル音楽プレイヤーとカーオーディオメインユニットのつなぎ方について詳しくまとめましたので、もしよろしければご参考にどうぞ。
その他の入力側での音質低下防止方法
ここでは、こちらの”知らない人は損してる!?車の音質が低下する3つの原因[入力編]“の記事で書かせていただいた以下の音質低下要因の解決案について考えていきます。
微々たる音質低下かもしれませんが、
- ポータブル機器をシガーソケット経由で給電しながら再生する時に受ける電源ライン経由のノイズ付加
- ポータブル機器をケーブルで有線接続する時に不平衡(アンバランス)伝送であることによるノイズ付加
- オリジナルのプレスCDをCD-Rにコピーするときのデータコピー要因による音質低下
- mp3などの圧縮音源をBluetooth 伝送する際のSBCの2重圧縮による不自然な音質変化の可能性
などの音質低下要因がメインユニットへの入力側にはあると書きました。
それぞれの解決策ですが(すいません・・・根本解決策でないものもあります)、
- ノイズフィルターを追加する、ポータブル機器は内蔵バッテリーでのみ駆動させる
- 接続ケーブルをさらにシールドする、ケーブルの経路を変える、ケーブルをなるべく短くする
- オリジナルのプレスCDをそのまま使う、買う
- Bluetooth 伝送は使わずにAUX有線接続やUSB有線接続を使う
- Bluetooth 伝送元のデータはロスレスのFLACやWAV、CD音源とする
- 新しくBluetooth機器を購入するなら、より音質のいいコーデックapt-X, AAC, LDAC対応の機器を検討する
などが考えられます。 少しお金がかかってしまう方法もありますが、カーオーディオ交換とかに比べるとそれなりにお手軽な方法です。 もしも気になるところがあれば、まずはできるところから試されてみてはいかがでしょうか?