「車に家庭用と同じ100Vコンセントがあったら便利なのに!」と考えたことはないでしょうか?
最近人気のキャンプやグランピングでの調理家電/ポータブルスピーカーなど電化製品の利用や、豪雨や地震など災害時の停電のスマホ/携帯の充電など、いざという時のライフライン電源の確保を考えても、車の100Vコンセント電源のニーズは高まりつつあります。
そこでここでは、車で家庭用と同じ100Vコンセントを使いたい場合の3通りの方法について詳しく書かせていただきます。
この記事を読んでいただくことで、車に100Vコンセントを設置する様々な方法が理解でき、自分に最も合う100Vコンセント設置方法が見つかります。
100Vコンセントも含めた車の電源確保方法とは
車内で家庭用100Vコンセント電源を確保する方法について書く前に、100Vコンセント以外も含めた車内の電源確保方法全体について、簡単に説明したいと思います。
車の中で最も一般的な電源の取り方は、実は家庭用コンセントの形をしたプラグからではなく、下図のようなシガーソケットやアクセサリーソケットと呼ばれる丸い形のものを使用する方法です。
シガーソケットやアクセサリーソケットは多くの場合、ホコリ等の侵入による火災を防ぐため、下図のようなフタが装着された構造となっています。
このように、最も一般的な電源確保方法であるシガーソケット・アクセサリーソケットも含め、電源確保方法としては、実は以下3つの方法があります。
これら、100Vコンセント電源以外の方法も含めた車内での電源確保方法については、こちら”車から電源を取る3つの方法“の記事に詳しく書かせていただきました。 もしよろしければ、合わせてご参考にどうぞ。
家の中にコンセントの電源があるように、車の中にもコンセントのように電源を取り出す接続口のの1つとしてシガーソケット・アクセサリーソケットがあります。 シガーソケットは、元々はタバコに火をつけるためのシガーライターの取り付け口ですが、最[…]
車で100Vコンセント電源を確保する3つの方法概要
それでは本題の家庭用100Vコンセント電源を車内で確保する方法について書かせていただきます。 簡単に書くと以下3つの方法となります。
それぞれの方法について、次章より詳しく書かせていただきます。
後付け100Vコンセント電源(後付けインバーター)
コンセントが純正装備されていない車であっても、インバーターを活用することで、シガーソケット・バッテリー接続経由で家の中と同様のAC100Vコンセントをケーブル長が届く限り自由な場所に設置することができます。
後付け100Vコンセント電源(インバーター)の種類・一般的な電力容量
例えば下図のインバーターはインバーターの接続先をシガーソケットにする場合、エンジンルーム等に設置されているバッテリーに直接接続する場合によって、使用可能な電力容量が変わってきます。
- シガーソケット接続の場合:AC100V/120Wの電源コンセント
- バッテリーに直接接続の場合:AC100V/300Wの電源コンセント(下図のインバーターの場合)
このように、インバーターの持つ電力容量を最大限発揮しようとすると、バッテリー端子への直接接続が必要となります。
災害時への備えも含め通常の車でフルに使える300Wのインバーターを準備しておきたい場合は、以下のようなバッテリー端子接続ケーブルが付属したモデルがおすすめです。
以下の通り、一般的な家電製品の消費電力を考えると、300Wあればスマホ充電器数台、電気毛布または扇風機、ノートパソコンを同時に使用してもまだ余裕があります。
- スマホ充電器、電動シェーバー:10W
- DVD・Blu-rayプレーヤー:30W
- 電気毛布、扇風機:50W
- ノートパソコン、加湿器:100W
- ヘアアイロン:200W
一方、災害時への備えも兼ねながら普段から日常生活で使用したい場合は、バッテリー端子接続は行わずにシガーソケット接続を行う以下のモデルがおすすめです。 本体サイズが小さく色が黒なので、一般的な車の内装色になじみやすい設計になっています。 100Vコンセントが2つ、USBポートが4つも装備されてます。
LST 200Wカーインバーター コンバーター 車載充電器 DC12VをAC100Vに交換 USB給電4口 AC100V電源2口 修正正...
ちなみに、ハイブリッド車・PHV車に純正設定されている電源コンセント容量である1500Wほどの容量はありませんが、ガソリン車に純正設定されている電源コンセント容量である100W以上にあたる300W程度の容量を選択することは可能です。
またハイブリッド車の場合は、ガソリン車と比べて一般的に発電量が多いので、300W以上のインバーター接続に対応できる場合もあります。
後付け100Vコンセント電源(インバーター)に関する注意点
一般的な”DC12V/120W”のシガーソケットに接続する場合、容量の大きなインバーターを接続したとしても120W以上の電力が使えるわけではないので注意が必要です。 例えば、上図のインバーターはインバーター単体の性能は”AC100V/300W”ですが、”DC12V/120W”のシガーソケットに接続した場合、インバーターによる変換効率が理想的に最大になったのとしても、”AC100V/120W”です。
万が一、シガーソケット接続で120Wを超えて使用してしまった場合、電源回路保護のためのヒューズが切れてしまい、ヒューズ交換が必要となってしまいます。
- 少なくとも120Wを超えない範囲での使用(120Wを超える場合はバッテリー端子へ直接接続)
- 大きな電力を使う時は車のバッテリーに負荷低減のためエンジンをかけたまま(ハイブリッド車の場合はパワーONのまま)の使用
を行うよう注意されるのがおすすめです。
後付け100Vコンセント電源(インバーター)のメリット・デメリットまとめ
最後に後付け100Vコンセント電源のメリットについてまとめてみます。 以下3点となります。
- 手軽に数千円で120~300W程度の電源供給が可能(ハイブリッド車の場合は300W以上のインバーターに対応できる場合あり)
- 車に純正100Vコンセントが無くても必要になった時点で後付け可能
- 持ち運び可能なのでレンタカーなど他の車でも使用可能
次に後付け100Vコンセント電源のデメリットについてまとめてみます。 以下3点となります。
- 1500Wほどの大容量電源は供給できない
- 120W以上の利用はバッテリーからケーブルの引き回す手間が必要
- インバーターの置き場所が必要(ポータブル電源よりは小さいが)
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後付けポータブル100Vコンセント電源(蓄電池)
コンセントが純正装備されていない車であっても、以下のようなポータブル100Vコンセント電源(蓄電池)を活用することで、車内を問わずあらゆる場所で家の中と同様のAC100Vコンセントを設置することができます。
以下のモデルなら最大200Wまで電力供給可能です。
Jackery ポータブル電源 400 大容量112200mAh/400Wh 家庭アウトドア両用バックアップ電源 PSE認証済 純正弦...
ノートパソコン、扇風機、電気毛布程度ならこのモデルで十分です。
ポータブル100Vコンセント電源の種類・一般的な電力容量
前章に書かせていただいた後付けインバーター同様、ハイブリッド車・PHV車に純正設定されている電源コンセント容量である1500Wほどの容量はありませんが、ガソリン車に純正設定されている電源コンセント容量である100W以上にあたる100~500W程度の容量を選択することは可能です。
先ほどのモデルよりは価格は上がりますが、以下のモデルなら最大500Wまで電力供給可能です。 一般的に、内蔵しているバッテリーの容量に応じて価格が上がります。
コーヒーメーカーやヘアアイロン、プレステ等のゲーム機を使いたい場合は、こちらのような大容量のポータブル蓄電池が必要です。
ポータブル100Vコンセント電源のメリット・デメリットまとめ
ポータブル100Vコンセント電源のメリットについてまとめてみます。 以下3点となります。
- 充電したバッテリーが続く限り100~500W程度の電源供給が可能
- 車に純正100Vコンセントが無くても必要になった時点で後付け可能
- 持ち運び可能なので車以外でも場所を選ばず自由に使用可能
次に後付け100Vコンセント電源のデメリットについてまとめてみます。 以下3点となります。
- 1500Wほどの大容量電源は供給できない
- 蓄電池のコストが高いため2~7万円程度の価格設定
- 蓄電池が重いため2~9kg程度の重量
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純正100Vコンセント電源(純正インバーター)
最後に純正装着の100Vコンセントについて書かせていただきます。
一般的な車は直流12Vの電源系統となっているため、純正AC100V電源コンセントが装備されている車には、純正のインバーターが車の中に内蔵されており、AC100V電源を作り出しています。(コンセントの差込口だけではなく、インバーターというそこそこ大型の機器が内部に埋め込まれています)
純正装着100Vコンセント電源の設置場所
下図は、トヨタハリアーハイブリッドの例です。 バックドアを開けると、ラゲージルームの左側の壁にアース接続端子といっしょに設定されています。
フタを開けると、おなじみの二股のコンセント差込口があらわれます。
バックドアが設定されているSUV・ミニバン・ハッチバック車では、上図のようにラゲージルームの横壁(デッキサイド)に設定されている場合が多いようです。
ラゲージルーム以外にコンセントが設定されている例として、30系トヨタプリウスでは下図のように運転席と助手席の間のコンソールの下の方に設置されています。
これ以外にも40系トヨタプリウスPHVなど、センターコンソール後方に設置されている車もあります。
つまり、純正装着100Vコンセント電源の設置場所としては、
- ラゲージルームの横壁(デッキサイド):ラゲージルームに電化製品を置いて使える
- センターコンソール付近:室内中央にコンセントがあれば室内どの席からでも使える
となっているようです。
純正100Vコンセント電源の種類・一般的な電力容量
トヨタ車の例ですと、
- AC100V/100W電源コンセント:一部のトヨタ車のガソリン仕様車に装備
- AC100V/1500W電源コンセント:一部のトヨタ車のハイブリッド・PHV仕様車に装備
となっています。 さすがに1500Wもの電力を共有しようとするとガソリン車では困難なようで、モーター走行用の容量の大きなバッテリーを持つハイブリッド車・PHV車に限定して、1500Wのインバーター・電源コンセントが装備されているようです。
ただしアクアやヴィッツハイブリッド等、トヨタのハイブリッド車でも1500Wインバーター・電源コンセントの設定が無い車種もあります。
純正100Vコンセント電源に関する注意点
100V電源コンセントのオプション装備は一般的に純正メーカーオプションの場合が多いので、新車注文時での設定が前提となり、基本的に後付けはできません。
東日本大震災の時には、エスティマハイブリッドに装備されているAC100V/1500W電源コンセントが非常時に活用できると話題になりましたが、現在では、
- プリウス、プリウスPHV、プリウスα
- ヤリスハイブリッド、ヤリスクロスハイブリッド
- CH-Rハイブリッド
- アルファードハイブリッド、ヴェルファイアハイブリッド
- RAV4ハイブリッド、RAV4 PHV
- ハリアーハイブリッド
- シエンタハイブリッド
- ヴォクシーハイブリッド、ノアハイブリッド、エスクァイアハイブリッド
- カムリ(ハイブリッド)
- カローラツーリングハイブリッド、カローラスポーツハイブリッド
などとても多くのハイブリッド車にAC100V/1500W電源コンセントがオプション装備または標準装備されています。(アクアやヴィッツハイブリッドなどハイブリッド車でもAC100V/1500W電源コンセントの設定がない車もあります)
特にオプション装備となっている場合は、新車を注文する前に装備希望の有り無しを確定させる必要があるので注意が必要です。
ちなみに、ハイブリッド車のAC100V/1500W電源コンセントに限らず、ガソリン車のAC100V/100W電源コンセントについても同様にメーカーオプションのため、新車注文時での設定が前提となり、基本的に後付けはできません。
参考情報ですが、トヨタ車の場合のオプション装備価格は以下の通りです。
- AC100V/100W電源コンセント:+¥8,000程度
- AC100V/1500W電源コンセント:+¥4~6万程度
※トヨタ公式サイトはこちら。
純正100Vコンセント電源のメリット・デメリットまとめ
最後に純正装着の100Vコンセント電源のメリットについてまとめてみます。 以下4点となります。
- 1500Wもの大容量電源が供給可能(ハイブリッド車・PHV車の場合)
- コンセントもスイッチも内装にキレイに埋め込まれており見た目がよい
- 後付けではないのでいざという時でも持って行き忘れ等の心配が無い
- 長期間(場合によっては数日間)に渡って使用可能
(ハイブリッド車・PHV車ならガソリン+エンジンで継続的に発電可能)
日常的には大きなメリットではないかもしれませんが、大規模停電等の災害時には、純正100Vコンセントなら長期間に渡って使えるという大きなメリットがあります。
ちなみに、ハイブリッド車、PHV車(プリウスPHV、アウトランダーPHVなど)、電気自動車(リーフなど)は、車の種類によって、以下の通り電源供給する場合のしくみが違ってきます。
- ハイブリッド車:内蔵バッテリー(蓄電容量:小さめ)+エンジンによる発電(ガソリンタンク:有)
- PHV車:内蔵バッテリー(蓄電容量:中くらい)+エンジンによる発電(ガソリンタンク:有)
- 電気自動車:内蔵バッテリー(蓄電容量:大きめ)、エンジンもガソリンタンクも無
これらのしくみの違いによる結果として、
- ハイブリッド車・PHV車の場合:内蔵バッテリーが無くなっても、ガソリンがある限り発電+電源供給可能(ただしエンジンがかかる)
- 電気自動車:内蔵バッテリーが無くなれば電源供給終了、そもそもエンジンが無いので静か
となります。
ハイブリッド車・PHV車の場合、エンジンはかかってしまいますが、ガソリンを使って発電できるので、相対的に電気自動車よりも長期間電源供給できる可能性があります。
次に純正装着の100Vコンセント電源のデメリットについてまとめてみます。 以下3点となります。
- 100W程度の電源しか供給できない(ガソリン車の場合)
- 新車を注文するタイミングでしか設定できない(後付け不可)
- そもそもオプション設定自体が無い場合あり
車で100Vコンセント電源を確保する方法まとめ
最後に車で家庭用100Vコンセント電源を確保する方法のまとめとして、各方法に対してどのような場合におすすめかを書かせていただきます。 ご自分に一番合うのはどのパターンか見つけていただけると幸いです。
純正100Vコンセント電源がおすすめな場合
- 新車への買い替え予定あり
- キャンプ時または非常時への備えとしてドライヤーなど消費電力が大容量の家電製品(~合計1500W)まで使いたい
- コンセント電源としての機能性だけでなく設置状態の見た目・キレイさも重要
- 大規模停電など災害に対して万全に備えたい
消費電力が大きい家電は、HVまたはPHV車の純正100Vコンセントでないと使用できません。 例えば以下のような家電を車内で使いたい場合、純正100V電源の選択が必要です。
- 冷蔵庫、コーヒーメーカー:500W
- 電気ポット、アイロン、ドライヤー、炊飯器、掃除機:1000W
- ホットプレート:1300W
後付け100Vコンセント電源(インバーター)がおすすめな場合
- 新車への買い替え予定なし
- パソコン・スマホ・ゲーム機などデジタル機器(~合計300W)をメインに気軽に使いたい
- 使用頻度・活用度合いがまだ分からないので数千円程度の費用に抑えておきたい
ポータブル100Vコンセント電源がおすすめな場合
- 新車への買い替え予定なし
- キャンプ時または非常時への備えとして家電製品(~合計300W)を使えるようにしておきたい
- 家の中など車以外の場所でも非常時への備えとして家電製品を使えるようにしておきたい
一般家電製品の消費電力(参考)
車載インバーターの合計容量との比較・参考用に、代表的な家電製品の消費電力を以下の通り一覧にしてみました。
- スマホ充電器、電動シェーバー:10W
- Wii:18W
- ポータブルマッサージ器:20W
- DVD・Blu-rayプレーヤー:30W
- 電気毛布、扇風機:50W
- ノートパソコン、加湿器:100W
- 液晶テレビ(32型):150W
- PS4、ヘアアイロン:200W
- 冷蔵庫、コーヒーメーカー:500W
- 電気ポット、アイロン、ドライヤー、炊飯器、掃除機:1000W
- ホットプレート:1300W
ここでは、車内での100Vコンセント電源確保について詳しく書かせていただきましたが、さらに幅広い車内での電源確保方法として、100Vコンセントに限らないシガーソケットやUSBも含めた電源確保について、こちら”車で電源確保する3つの方法“の記事にまとめてみました。 もしよろしければ、合わせてご参考にどうぞ。