車でスマホ充電が遅い3つの理由!ワイヤレスやタイプAは衰退!?

車の中でのスマホを充電する場合、充電が遅く、バッテリーがなかなか溜まらず困った経験は無いでしょうか?

車の中で充電する場合、限られた移動時間の中で、できる限り速く充電したいと感じる方も多いと思います。

車の中でスマホの充電が遅い理由としては、以下3つパターンに当てはまる場合が多いです。

  • 1)USBではなくワイヤレス充電を利用
  • 2)通信用USBポートを利用
  • 3)タイプAのUSBポートを利用

車でスマホ充電が遅い理由イメージ

そこでここでは、自動車会社で20年間、電子部品の開発に携わってきた私の実体験やノウハウを元に、車の中でスマホの充電が遅い理由とその対策として超急速充電を行う方法について詳しく解説していきます。

下図は私が普段、車内で超急速充電を行ってる時の様子です。

スマホのバッテリー残量は半分以下(45%)ですが、わずか45分で満充電になる見込みです。

GalaxyS22(最大25W受入可能)を超急速充電中の画面表示

しかしここで、ワイヤレス充電・通信用USB充電・タイプAのUSB充電等だと、低速な普通充電となり満充電まで2~4時間必要な場合もあります。

一般的にiPhoneを急速充電した場合、

  • バッテリー残量0→50%:約30分
  • バッテリー残量0→100%:約1時間半

と、言われてます。

逆に以前のiPhone付属品の白い四角い充電器(5W)などで普通充電した場合、

  • バッテリー残量0→50%:約1時間半
  • バッテリー残量0→100%:約4時間

と、急速充電と比べて数時間も多くの充電時間がかかります。

  • 車でのスマホの充電が遅くて困ってる・・・
  • 外出先で安心して使えるよう、車内でスマホを超速く充電したい・・・
  • 出かける間際にスマホのバッテリー残量数%で困ったことがある・・・

という方には特に参考になるかと思います。

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車でスマホ充電が遅い3つの理由

車ならではの環境として、スマホの充電が遅い理由は以下3つのパターンが考えられます。

  • 1)USBではなくワイヤレス充電を利用
  • 2)通信用USBポートを利用
  • 3)タイプAのUSBポートを利用

特に1つ目のワイヤレス充電は、ホントに充電が遅いです。

ワイヤレス充電であっても、昔に比べると充電が速いタイプも登場してますが、USBケーブルを利用した充電と比べると圧倒的に遅いのは間違いありません。

次章より、1点ずつ詳しく解説していきます。

 

1)USBではなくワイヤレスだと充電が遅い理由

ワイヤレス充電(置くだけ充電)だと充電速度が遅い理由は、以下3点です。

  • 1]ワイヤレスだと充電効率が悪い
  • 2]ワイヤレス充電だと充電出力が低い
  • 3]充電停止リスクあり

 

1]ワイヤレスだと充電効率が悪い

ワイヤレス充電だと充電速度が遅い1つ目の理由は、充電効率が悪いからです。

ワイヤレス充電は、別名で非接触充電とも呼ばれてますが、本来は電線の内部など金属の中を通って送られるべき電気エネルギーが、金属どうしが接触せずにワイヤレスで空気を通して送られます。

ここでは電磁誘導と呼ばれる、電気エネルギーを一旦磁気エネルギーに変換し、再度電気エネルギーに戻す方式が採用されています。

エネルギーの変換には常に変換損失が発生するため、充電に利用されるはずの電気エネルギーの一部は、損失として熱などに変わって捨てられます

発電所や変電所から各家庭までの送電が基本的には「送電線」としてワイヤレスではなくワイヤード(有線)で行われることからも、効率の良い電気エネルギー伝送は有線であることがご理解いただけると思います。

 

2]ワイヤレス充電だと充電出力が低い

ワイヤレス充電だと充電速度が遅い2つ目の理由は、充電出力が低いからです。

ワイヤレスでエネルギーを送るということは、極端な言い方をすると空気中に電磁波をばらまくことです、

ここで、あまりにも強烈な電磁波をばらまいてしまうと、人体や他の電子機器に悪影響を及ぼすことも考えられるため、安全性も考慮された上で電磁波の出力レベル等が世界規格Qi(チー)で定められてます。

iPhone専用のQi2(≒MagSafe)を除けば、現在のQi規格で定められた最大出力電力は15Wであり、これは有線であるUSB-PD規格の最高出力100Wと比べてはるかに低い値にとどまっていることが分かります。

充電出力 出力電流 出力電圧 ワイヤレス充電
規格名
USB充電
規格名
2.5W 0.5A 5V~ 〇:Qi 〇:USB2.0
4.5W 0.9A 〇:USB3.0
7.5W 1.5A 〇:USB-BC
10W 2A 〇:USB-BC
〇:USB-PD
QC(Quick Charge)等
15W 3A
27W 9V ×
45W 15V ×
100W 5A 20V ×

 

3]充電停止リスクあり

ワイヤレス充電だと充電速度が遅い3つ目の理由は、充電停止リスクがあるからです。

車は動くものなので、アクセルやブレーキに連動したりして車内は振動で揺れます。

下図のように車の振動によりワイヤレス充電トレイの中でスマホの位置が大きくズレると充電が停止します。

ワイヤレス充電トレイ内のスマホ位置ズレによる充電停止

また、信号待ちや渋滞中など停車中にスマホを手に取って見た場合、ワイヤレス充電トレイに置いて無いのでその間は充電は停止しています。

これがUSBケーブル充電だと、充電ケーブルを接続したままスマホを手に取って見れるので充電は続けることができるのです。

つまり、

  • 車の振動で位置がズレると充電停止
  • 充電中にスマホを手に取って見てる時間は充電不可

という点も、ワイヤレス充電ならではの充電速度が遅い理由です。

 

2)通信用USBポートだと充電が遅い理由

通信用USBポートだと充電速度が遅い理由は、通信用のUSB規格USB2.0~3.x(+USB-BC)だと下表の通り、最大出力が2.5W~15Wまでに限定されているからです。

充電出力 出力電流 出力電圧 USB
タイプA
USB
タイプC
USB
規格名
2.5W 0.5A 5V~ USB2.0
4.5W 0.9A USB3.x
7.5W 1.5A USB-BC
10W 2A △(QC等) USB-BC
USB-PD
QC(Quick Charge)等
15W 3A △(QC等)
27W 9V × USB-PD,
QC(Quick Charge)等
45W 15V ×
100W 5A 20V ×

とは言え、USB端子がタイプCであれば最大15Wまで充電出力がサポートされてる可能性があるため、通信用USBポートでも超急速充電まではできないものの、急速充電ができる場合があります。

しかし、USB端子がタイプAの場合は最大でも7.5Wまでの充電出力サポートなので、普通充電しかできないですし、お使いの車のUSBの仕様によって充電出力は2.5~7.5Wと差があります。

下図は純正の通信用USBポートでスマホを充電中の様子ですが、急速充電はできず普通充電状態となっています。

純正通信用USBポートでのスマホ充電

一般的に、古い車ほどUSB充電出力は低いです。

 

3)タイプAのUSBポートだと充電が遅い理由

タイプAのUSBポートだと充電速度が遅い理由は、USBタイプA規格だと下表の通り、最大出力が2.5W~15Wまでに限定されているからです。

充電出力 出力電流 出力電圧 USB
タイプA
USB
タイプC
USB
規格名
2.5W 0.5A 5V~ USB2.0
4.5W 0.9A USB3.x
7.5W 1.5A USB-BC
10W 2A △(QC等) USB-BC
USB-PD
QC(Quick Charge)等
15W 3A △(QC等)
27W 9V × USB-PD,
QC(Quick Charge)等
45W 15V ×
100W 5A 20V ×

とは言え、QC(Quick Charge)等の規格に対応していれば最大15Wまで充電出力がサポートされてる可能性があるため、タイプAのUSBポートでも超急速充電まではできないものの、急速充電ができる場合があります。

しかし、QC(Quick Charge)等の規格に対応してない場合は最大でも7.5Wまでの充電出力サポートなので、普通充電しかできないですし、お使いの車のUSBの仕様によって充電出力は2.5~7.5Wと差があります。

下図はタイプAのUSBポートでスマホを充電中の様子ですが、急速充電はできず普通充電状態となっています。

タイプAのUSBポートでのスマホ充電

一般的に、古い車ほどUSB充電出力は低いです。

 

車でスマホ充電を速くする対策方法

ここからは、車の中でスマホの充電が遅い問題の対策として超急速充電を行う方法について詳しく解説していきます。

超急速充電を行うにはUSB-PDに対応したUSBタイプC端子への接続が必要です。

 

車の純正USB端子はまだ超急速充電非対応

現在、車の純正USB端子でもタイプAからタイプCへの移行が進んでおり、下図は移行過渡期のレクサスNXの例です。

レクサスNXのUSB端子の例

  • 充電用USB=タイプC(左側)
  • 通信用USB=タイプA(右側)

とUSBタイプAとタイプC端子が混在してるのが分かります。

ただし、だいたい2023年頃以降発売の新車からUSBタイプAは廃止されUSBタイプCの採用が進んでおり、例えば、

  • トヨタクラウンクロスオーバー(2022年発売):通信用USB=タイプA、充電用USB=タイプC
  • トヨタクラウンスポーツ(2023年発売):通信用USB=タイプC、充電用USB=タイプC(タイプAは完全廃止)

となっています。

このように国産車は2023年頃からタイプAの廃止が始まりましたが、実はフォルクスワーゲンやメルセデスベンツ等の欧州輸入車は2020年頃からすでにタイプAの廃止が進んでいます。

とは言え、USBタイプC端子でもUSB-PDに対応していない限り、急速充電は可能でも超急速充電は不可能です。

実際、USBタイプC端子を採用する車は増えてきたものの、超急速充電が可能なUSB-PD対応の車は正直まだ少なく、私の知る限り、2024年時点では、メルセデスベンツの一部のモデルとテスラの一部モデルくらいです。

 

後付けUSBソケットならスマホの超急速充電が可能

USB-PD対応の純正USB端子がまだまだ普及してない今、スマホの超急速充電が可能なほぼ唯一の方法は、シガーソケットに数秒で後付け可能PD対応USBソケット充電器の利用です。

USBソケット充電器のおすすめモデルは以下一覧の通りです。

単独電力出力欄に「◎」マークがある約30W以上出力可能なモデルであれば、スマホの超急速充電が可能です。

USBソケット
充電器
製品名
おすすめ 実売価格 対応コネクタ 充電性能 車内使い勝手
USB
タイプA
USB
タイプC
合計
電力出力
単独
電力出力
コンパクト
設計
ケーブル
一体式
AINOPE
2ポートUSB
カーチャージャー
H79
★★★
¥1,500

(x1)

(x1)

(36W)

(36W:
タイプC)
IDOLCO
2ポートUSB
カーチャージャー
C70(タイプC)
★★★
¥1,800

(x1)

(x1)

(60W)

(30W:
タイプC)

(USB-C)
IDOLCO
2ポートUSB
カーチャージャー
C70(ライトニング)
★★★
¥1,800

(x1)

(x1)

(60W)

(30W:
タイプC)

(ライトニング)
UGREEN
3ポートUSB
カーチャージャー
90413
★★★
¥4,000

(x1)

(x2)
◎+
(130W)
◎++
(100W:
タイプC)
Anker
3ポートUSB
535カーチャージャー
B2731
★★☆
¥4,500

(x1)

(x2)

(67W)
◎+
(67W:
タイプC)
エレコム(ELECOM)
2ポートUSB
シガーチャージャー
MPA-CCC05BK
★★☆
¥1,700

(x1)

(x1)

(27W)

(15W:
タイプC)

(USB-C)
エレコム(ELECOM)
2ポートUSB
シガーチャージャー
MPA-CCL04BK
★★☆
¥2,300

(x1)

(x1)

(27W)

(15W:
タイプC)

(ライトニング)
(MFi対応)
SONRU
3ポートUSB
カーチャージャー
UC1002
★★☆
¥2,000

(x2)

(x1)

(66W)

(30W:
タイプC)
AINOPE
2ポートUSB
カーチャージャー
AV801
★☆☆
¥1,000

(x2)
×
(24W)

(12W:
タイプA)
Anker
2ポートUSB
カーチャージャー
A2727
★☆☆
¥1,300

(x2)
×
(24W)

(12W:
タイプA)

私は、所有する3台の車で、それぞれAINOPE 2ポートUSB H79IDOLCO 2ポートUSB C70エレコム2ポートUSB MPA-CCC05BKを利用していますが、使い方に応じて、以下のようにお選びいただくのがおすすめです。

下図はトヨタRAV4でIDOLCO 2ポートUSB C70(USB-C)を利用しスマホを超急速充電している状態です。

PD対応USBソケット充電器でのスマホ超急速充電

ワイヤレス充電では残り56分だった充電時間が約半分の32分に短縮されています。

また、下図はダイハツコペンでAINOPE 2ポートUSB H79を利用しスマホを超急速充電している状態です。

10年前のコペンに最新のUSBタイプCコネクタ装着状態

約10年前のコペンでも最新のUSBタイプCコネクタで超急速充電が可能です。

こちらの充電器のよいところは非常にコンパクトなので、下図のようにケーブルを抜いてしまえば、USBソケット充電器自体は取り付けたままキャップを閉じれることです。

USBソケット充電器を取り付けたままキャップを閉じれてる状態

以上ここでは、車の中でスマホの充電が遅い理由とその対策として超急速充電を行う方法について解説してきました。

ここでは、USBタイプCが設置されて無い車への簡単な対処方法として、シガーソケットを活用する方法を紹介させていただきましたが、実は他にもAC100V電源コンセントを活用する方法もあります。

車でAC100V電源コンセントを確保する様々な方法については、こちら”車に100Vコンセント電源を設置する3つの方法(純正埋め込み/後付け/蓄電池)“の記事にも詳しくまとめてありますので、もしよければ合わせてご参考にどうぞ。

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