レクサス・マークレビンソンのサウンドシステム装着車には、いくつかの音質設定項目があります。
何も設定しない状態で使っても問題はありませんが、少し設定を変更するだけで劇的に音が変わる場合もあります。
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ここでは、レクサス・マークレビンソンのサウンドシステムにおけるDSP等の音質設定について、私が約11年使い続けた経験をもとに、おすすめの設定とその理由・背景について書かせていただきます。
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マークレビンソンの音質調整項目一覧
レクサスのマークレビンソン装着車には、たいてい以下4つの音質設定(調整)機能があります。
- 3バンドイコライザー設定
- ポジション設定
- ASL(Auto Sound Levelling)設定
- SURROUND設定
次章から、上記各調整項目のおすすめ設定について順に書かせていただきます。
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3バンドイコライザー設定
イコライザーの設定。 こればかりは本当に人それぞれの好み次第です。 しかし、以下ポイントに注意して設定されるのがおすすめです。
- 原則フルフラット設定がおすすめ
- BASS設定は車の使い方に応じて調整が必要
- 微調整の範囲内で好みに応じて調整すべき
原則フルフラット設定がおすすめ
“TREB”, “MID”, “BASS”全て、ど真ん中の設定をフルフラットと呼ぶことにします。
このフルフラット設定は、マークレビンソンのエンジニアが何日もかけて、ISならISのNXならNXの室内空間の形状による反射、シートや内装材に吸収される音の特性、各スピーカーから出る音の混ざり具合を考慮してベストなセッティングを作り上げた結果の設定です。
よって、私はフルフラット設定がマークレビンソンのエンジニアおすすめのセッティングであると考えています。
後ほど書かせていただきますが、だからと言って全く調整していけないわけではありません。 実際に調整可能なつくりになっているわけですし。
BASS設定は車の使い方に応じて調整が必要
低音は、ほとんどの場合、車の後方に搭載されているサブウーハーとフロントドア左右に搭載されているドアウーハーから出力されています。
その中でも重低音を担うサブウーハーは、SUV・ハッチバックタイプの車ならラゲージルームと呼ばれる後方の荷物を積む部分の側面の壁かバックドアの中に内蔵されています。
この時、荷物の積み方や荷物を隠すトノカバーと呼ばれる覆いの設置方法によって、サブウーハーから出る音が妨げられてしまう場合があります。
例えば、荷物をラゲージルームいっぱいに詰め込んだ場合、サブウーハーの出口であるスピーカーグリルの表面に荷物が押し付けられ、完全に音の出口をふさいでしまうことになるのです。
重低音は高音と違って音の指向性も弱く、高音よりは音が回り込み伝わりやすい性質を持っていますが、それでも出口を完全にふさがれてしまうと、やはり音圧は下がってしまいます。
よって、SUVタイプのレクサスNX, RX, LXやハッチバックタイプのレクサスCTでは、荷物の量や配置、トノカバーの取付有無によって、BASS設定を少し多めに調整するのがおすすめです。
微調整の範囲内で好みに応じて調整すべき
はじめに、原則フルフラット設定がおすすめと書きましたが、実際、”TREB”, “MID”, “BASS”の3バンドは調整可能になっています。
最終的に行き着いた私の考えは、
“一旦マークレビンソンの音響エンジニアおすすめのフルフラット設定で聴いてみて、それでも好みとして変えたほうがいいと感じるポイントがあれば、変更しても問題なし”
です。
なぜならCDによって、極端な話、同じ1枚のCDの中の曲によっても、周波数特性のバランスは様々に異なっています。
マークレビンソンの優れた音響エンジニアといえども、世の中にある全ての曲にマッチする、たった1通りのベストなセッティングを作り出すことなどできないのです。
ただし、例えば、
- 高音設定:+5
- 中音設定:-5
- 低音設定:+5
とかの極端な設定は(個人的に)おすすめできません。 あくまで“-2~+2″程度の範囲内の微調整に留めるのがおすすめです。
ちなみに、私はマークレビンソンの音響チューニングの特徴は豊かな中低音と高解像度実現のためのクリアな高音であると考えています。 よって、曲によっては重低音が不足と感じる場面もあります。
これらを踏まえ、曲にもよりますが、私はほぼ以下の設定を愛用しています。
- 高音設定:±0
- 中音設定:±0
- 低音設定:±0~+2
ポジション設定
ポジション設定については、原則、前後・左右ともにど真ん中が圧倒的におすすめです。
昔、実は私も勘違いしていたのですが、ポジション設定の中心を例えば前後・左右ともに車の中心から運転席の中心へ右斜め前へ移動させたところで、運転席にベストマッチなチューニングになる訳ではありません。
マークレビンソンシステムに装備されているポジション設定の機能は、単に中心を移動させた方向と反対側のスピーカー出力を弱めるだけの機能なのです。
例えば、ポジション設定の中心を一番右上の角にまで移動させると、その反対側である左側に搭載されている全てのスピーカーと後方に搭載されている全てのスピーカーの音が出なくなるだけです。(ポジション設定位置の移動に合わせた、位相合わせ制御・タイムアライメント制御は行われていません)
そもそもマークレビンソンのいいところは、音のスイートスポットと呼ばれる聴いていて気持ちいい位置が、運転席だけでなく助手席や後席全ての席になるよう広い範囲でチューニングされているところです。 例えば不思議な話ですが、マークレビンソン独自のチューニングノウハウで、DVDの5.1チャネルサラウンドを全ての席で味わうことができるのです。 各席は各スピーカーからの距離がバラバラであるにもかかわらずです。
よって、ポジション設定の正しい使用方法としては、通常使用時はあくまでど真ん中。 もしも運転席・助手席を含む前席ではガンガン音楽を聴きたい・・・が、後席では子供が寝てるので少し音を控えめにしたい・・・などの場合にポジションを少し前側に移動させ、後方側のスピーカー出力を下げるといった使い方なります。
それ以外の使用方法ですと、通常のリスニング状態とは違いますが、どこかのスピーカーの故障が疑われる場合、ちゃんと各スピーカーから音が出ているか確かめるために、それ以外のスピーカーの音を消すという特殊な使い方も考えられます。
私が思いつく限り、通常のリスニング状態でポジション設定を前後に調整することはあっても左右どちらかに移動させることは、あまりおすすめできません。
ASL(Auto Sound Levelling)設定
ASL設定については、ONがおすすめです。 私は常にONの設定にしています。
これは、外部からの騒音に対して音量のみを自動調整する機能ですので、音質は全く変化しません。 よって、以下3つの観点を考慮して設定するのがおすすめです。
- 車の静音性能
- 車の使い方(走る道・速度の出し方の頻度)
- 音量の揺れの気になり度合い
車の静音性能
そもそもレクサス車というだけで、静音性能は高いです。 だからといって完全に外部からの騒音がシャットアウトされるわけではありません。
また、レクサス車のラインナップにはヒエラルキー(上下の階級)があります。 例えば、
- セダン:高級な順に、LS→GS→ES→IS・HS
- SUV:高級な順に、LX→RX→NX→UX
といったイメージです。 LSやLXが最も価格・高級感が高いのは、車の大きさ・装備の多さ・豪華さが上であるだけなく、目に見えない静音性能も上なのです。 実際、外部からの騒音を防ぐのに効果がある防音材のグレードや使用量、ガラスの厚み、ボディーパネルの厚さなど、それ相応の差が想定されます。
また、販売店オプションで取付可否が選択できるサイドバイザーという装備があります。 これは雨の日でも窓を少し開けることができる(少し窓を開けても雨が入ってこない)非常に便利な装備なのですが、スピードを出した際に風の巻き込み騒音が大きくなるというデメリットがあります。 サイドバイザーを装着されている場合、ASLはONの方がよいのかもしれません。 そういう私のISもサイドバイザー付なのですが・・・。
よって、お乗りのレクサス車の静音性能・装備に合わせてASL設定ONの必要性を判断されるのがおすすめです。
ちなみに、私のISはドアパネルにデッドニングという静音性能を高めるチューニングを行っていますが、それでも高速道路ではそれなりに騒音があるので、常にASL設定はONにしています。
車の使い方(走る道・速度の出し方の頻度)
頻繁に高速道路やバイパスのような速度の出せる道路をお使いであれば、騒音が大きくなる頻度も大きいので、ASL設定ONがおすすめです。
音量の揺れの気になり度合い
クラシックなどのダイナミックレンジの広いソースをお聴きでしたら、音量の変化が気になるかもしれません。
私はたまにしかクラシック等を聴かないので、音量の揺れはそこまで気になりません。 なので、私は常にASL設定ONです。
サラウンド設定
現時点で私は、サラウンド(SURROUND)設定OFFが一番好みです。 サラウンド設定OFFの方が音像がより前方に定位し、より解像度の高いクリアな音質となるからです。
ただし、実は5年ほど前までは私もサラウンド設定ONが一番好みでした。
確かにサラウンド設定ONの方が音場の迫力・広がり感は出ます。 しかし、その代わり元の音源が持つクリアさが少し失われる印象です。 まとめると以下のようになります。
- サラウンドOFF:解像度が高く輪郭がはっきりしたクリアな音質・音像は前方定位
- サラウンドON:迫力がありリッチな音質・広がり感があり包まれるような音場・音像は車室内の中央寄り定位
ここはやはり、各個人のお好みで「クリアでしっかりした音(サラウンド設定OFF)」か、「音場の迫力・広がり感(サラウンド設定ON)」かのどちらかを選ぶしかないと思います。
またこの好みは、私のように変わっていく場合もありますし、音源フォーマットや曲によっても相性の良さ・悪さがあると思います。 あくまで目安ですが、フォーマット別のおすすめ設定は以下の通りです。
- サラウンドOFF:スタジオ録音されたCD・ハイレゾ音源などで2chのステレオフォーマット
- サラウンドON:ホールやスタジアムでライブ録音された音源・映画などの5.1chなどのマルチチャネルフォーマット
スタジオ録音された音源の原音再生を追求されるのであれば、断然サラウンドOFFがおすすめです。
しかし、ライブ音源や映画などの5.1ch音源では、例えばDVDだとドルビーデジタルAC3という圧縮音源を使用していることもあり、クリアな音質よりは迫力や広がり感を楽しんだ方がよいと考えられます。
マークレビンソンに関する詳しい内容は、こちら”マークレビンソン(Mark Levinson)|車で高音質オーディオを楽しむ方法“の記事にまとめましたので、もしよければご参考にどうぞ。
また2017年、レクサスでは初となるハイレゾ音源対応のカーオーディオシステムが最上級クーペLC500/LC500hに搭載されました。 こちら”レクサスがハイレゾ対応開始!でも実はハイレゾ非対応の旧モデルでハイレゾが聴けてしまう理由“の記事でその詳細と、LC500/LC500h以外のハイレゾ非対応の既存車も含め、車内でハイレゾ音源を聴く全ての方法を紹介させていただいております。 もしよろしければ合わせてご参考にどうぞ。