ハイレゾで失敗しないための5つの注意点と音質の違いが分かる方法

ここ数年いろいろと注目されているハイレゾ音源ですが、大きな可能性を秘めているのと同時に、ちょっとした落とし穴もあったりします。

ここでは、ハイレゾ音源を楽しむ上で注意しておきたい”ハイレゾならではの注意点”を5つのポイントに絞って解説していきます。 同時に、実際ハイレゾ音源を1年半以上にわたってほぼ毎日聴き続けた私の体験をもとに、ハイレゾならではの注意ポイントに対する対策方法についても紹介していきます。

ハイレゾで失敗しないための5つの注意点と音の違い聴き分け方法

雑誌等のメディアやソフト・ハードの販売元などでは、スポンサー戦略・販売戦略上の都合もあり、”ハイレゾ音源のデメリット“について積極的に語られることはありません。 しかしここでは、ハイレゾの音質を愛する1人のユーザーの視点として”ハイレゾ音源のデメリット・注意ポイント“について、冷静に書いてみたいと思います。

これは決してハイレゾそのものを否定するものではありません。 ”ハイレゾ音源のデメリット・注意ポイント”を知った上で、よりハイレゾを楽しむことが狙いです。

ハイレゾ音源のメリットについてはこちら”カラダがよろこぶ!ハイレゾ音源に秘められた5つのメリット“の記事にまとめておりますので、もしよろしければ合わせてご参考にどうぞ。

また、ハイレゾ音源はCDの3倍以上の情報量(=ファイルサイズ容量)を持ち、CDよりも高音質と一般的には言われてます。 しかし、音質の良さというのはいったいどこまで本当なのかについても、ハイレゾ音源ならではの音の違いが分かる聴き分け方法という直感的に分かる形で紹介させていただきます。
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ハイレゾ音源のビットレート(=音質につながる情報量)について

はじめに、情報の量、つまりはデータの大きさを切り口とした場合のハイレゾ音源の位置付けを確認してみます。

主な音楽メディアのビットレートは以下の通りです。 ビットレートとは、一般的に以下にように[bps]で表され、1秒間あたりに流れてくる音楽データの量を示します。 ラジオや音楽聴き放題サービス、CDよりもハイレゾ音源は遥かにデータ量が多いということになります。

  • FMラジオ:約96kbps
  • 音楽聴き放題(Google Play Music, Apple Music, Amazon Primeなど)の配信データ:~320kbps
  • 音楽CD(CD-DA):1,411kbps
  • 主なハイレゾ音源:約2,304(24bit/48kHzの場合)~※

※ハイレゾ音源についてはCDと違ってビットレートが一意に定まっていないので、代表的なフォーマットのものの一例を書かせていただきました。 例えば24bit/192kHzの場合だと約9,216kbpsにまでビットレートは上昇します。

ビットレートを1秒間に耳に入ってくる音楽データの量と考えると、一般的にはその数字が大きいほうが情報量的に多く、録音元である生演奏やレコーディングスタジオで録音中の音により近いもの=いい音であると言えます。

ですので、上記リストの上の方のビットレート低めのメディアほど、音質低下が大きいメディアとなります。

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ハイレゾ音源ならではの注意ポイント一覧

詳細な説明は後から書かせていただきますが、まずは簡単に”ハイレゾならではのデメリット”とも言えるハイレゾ音源の注意ポイントについて一覧にしてみます。 以下5つにまとめてみました。

  • タイトル数(曲数)が非常に少ない
  • 原則メディアの店頭販売が無くほぼネット配信のみの購入ルート
  • 再生するのに専用ソフト・ハードが必要かつ消費電流が多い
  • データサイズが大きい
  • 違いが分かりにくい(違いが100%分からいないわけではない)

以上がハイレゾ音源の注意ポイント一覧となります。 箇条書きだけでは分かりにくいと思いますので、次章より詳細について書かせていただきます。

 

ハイレゾ音源ならではの注意ポイント詳細とその対策方法

タイトル数(曲数)が非常に少ない

2019年時点で、iTune Storeで販売されている楽曲数は約4,300万曲です。 これに対し、日本最大の楽曲数を誇るハイレゾ配信サイトe-onkyoですら約45万曲です。

これは、どう見てもタイトル数が非常に少ないと言わざるを得ません。 これからのハイレゾ音源タイトル増強に期待するしか無さそうです。 よって対策方法は、

  • 自分のお気に入り曲がハイレゾ音源になってたら儲けもの的なポジティブな発想を持ち、たとえCDを持っていても購入を検討
  • ハイレゾ未発売曲はDSEE-HXなどのアップスケーリングを活用して楽しむ

と考えています。

 

購入ルートは店頭販売無しで原則ネット配信のみ

2019年時点で一般的に手に入るハイレゾ音源は、特殊かつ過去のものとなってしまったSACDを除くと、基本的にCDなどパッケージメディアでの流通や店頭販売等はありません。

2015 年に発売されたMr.Childrenの”REFLECTION”ではわずかな数の初回限定版にハイレゾ音源入りUSBメモリが同梱され、CDとセットの形態でハイレゾ音源が販売 されました。 しかし、このような一部の特殊例を除くとハイレゾ音源は、ほぼネット配信でしか購入できない状態です。 よって対策方法は、

  • パソコン・ハイレゾウォークマン+WiFi環境など、ネット配信に対応した環境を整備してがんばってついて行く

と考えています。

もしも、ネット配信音源のダウンロードでトラブルが発生した場合、ダウンロードエラーの対処方法をこちら”ハイレゾ音源がダウンロードエラーっぽい場合の3つの対処方法“の記事にまとめましたので、もしよければご参考にどうぞ。

 

再生するのに専用ソフト・ハードが必要で消費電流が多い

残念ながら、従来の音楽フォーマットとハイレゾでは一部フォーマットに違いがあります。 よって、ハイレゾ音源の再生には専用ソフト・場合によっては専用ハードウェアが必要となります。

特にポータブル機器においては、最近のスマホでも音楽を聴くというスタイルに対して一部のアンドロイド端末はハイレゾ対応しているため購入したままでもハイ レゾを楽しむことができる機種もあるものの、最も普及台数の多いiPhoneに至っては専用のハイレゾ再生アプリを準備しなければならないばかりか専用のハイレゾ用ポータブルアンプを準備しないとハイレゾならではの音質で再生を楽しむことができません。 ・・・まだまだハイレゾ対応ハードウェアが完全に当たり前になる日は先なのかもしれません。

また、ハイレゾ音源再生には従来の非ハイレゾ音源再生以上に多くの消費電流を必要とします。 より大きなデータ容量の再生処理を行うため、多少仕方の 無いことだとは思いますが、モバイル機器にとってのバッテリー性能が追いついていない状況も多々感じます。 特に私の環境の場合(ソニーNW- ZX2)の電池の持ち時間は、

非ハイレゾ再生 ≒ ハイレゾ再生 >> DSEE-HXオンでの非ハイレゾ再生 >>> 外部ポータブルアンプへデジタル出力して再生

というイメージで、外部ポタアンへデジタル出力して再生する場合は、バッテリーのインジケータの動きが見えそうになるくらい、恐ろしい速度でバッテリーが減っていきます。 よって対策方法は、

  • 人より良い音で音楽を聴けることに感謝しつつ必要なハード・ソフトは予算内で準備
  • ポータブルバッテリーやなるべく急速な充電器で、バッテリー容量低下に備える
  • バッテリーを長く持たせる方法(WiFi/Bluetoothは極力オフ等)を知っておく

しかないのではと考えています。

ちなみに、こちら”ウォークマンA100/ZX500バッテリー激減問題!7つの長持ち対策方法“の記事で、アンドロイドOS搭載のウォークマンを例に、バッテリーを長く持たせる方法についてまとめてみました。 もしよろしければ、合わせてご参考にどうぞ。

 

音楽データのファイルサイズが大きい

ここは意外と落とし穴です。 冒頭の音楽データの情報量の項目でも触れましたが、

  • 圧縮音源:128~320kbps
  • CD(-DA):1,411kbps
  • 主なハイレゾ音源:約2,304(24bit/48kHz)~※

という状況です。

※ハイレゾ音源についてはCDと違ってビットレートが一意に定まっていないので、代表的なフォーマットのものの一例を書かせていただきました。 例えば24bit/96kHzの場合だと約4,608kbpsにまでビットレートは上昇します。

ハイレゾ音源のデータ容量例

圧縮音源がCDの1/10程度なのに対し、ハイレゾ音源は2~6倍です。 圧縮音源の容量に慣れてしまっていると、場合によっては60倍と感じることもあり ます。 これは、例えばアルバム60枚分のスペースにアルバム1枚しか入らないという悲劇的な状況(笑)を意味します。 よって対策方法は、

  • パソコン・ハイレゾウォークマン等のポータブル機器に関わらず外付けメディア(HDD・SSD・SD等)対応を考慮
  • 外付けメディア(HDD・SSD・SD等)は価格低下のトレンドを見極めて割安なものを選択

と考えています。

例えば、これからハイレゾ対応ポータブル機器を購入されるのであれば、外部SDスロット対応モデルがおすすめです。 内蔵メモリはデータ読出が速いなどのメリットもありますが、拡張性という意味では原則容量アップ不可です。 また、SDカードなどの汎用メモリは日々容量拡大や価格低下が進むので、本体購入後 もこれらの時代進化に合わせた恩恵を享受することができます。

 

非ハイレゾ音源との音質の違いが分かりにくい(100%分からいないわけではない)

こちら”ハイレゾ音源に秘められた5つのメリットと音質の違いがわかる方法“の記事でも、ハイレゾ音源のメリットとしてリアルな音質が違いとして楽しめると書かせていただきましたが、従来の圧縮音源やCD音源では、”生演奏・レコーディングスタジオで録音された音”に対して、人間の耳に聴こえにくい部分の音などに優先順位をつけて一部の音を削除・圧縮しています。 例えば、ローパス(高い周波数の音を削除)や心理音響モデル(大きな音の直後の小さい音などを削除)などです。

ハイレゾ音源ではこれらの“音の削除・圧縮”が最小限にとどめられているため、”生演奏・レコーディングスタジオで録音したそのものの音質”に近い”とてもリアルな音質“であると言えます。

しかし、リアルな音質と言っても、ある曲が全く持って違う曲に聴こえるものではありません。 従来の非ハイレゾ音源であっても、楽器の一般的な音色・音程など音楽の基本情報は十分に含まれています。 ただし、ハイレゾ音源になるとさらに情報量が増加するため、音楽の基本情報に加えて”その場に居るかのような臨場感・空気感”がよりリアルに感じられたり、小さい音・大きい音の細かな違いや音像の立体感が繊細なレベルで感じられるようになります。

実は、この”臨場感・空気感”を聴き分ける感覚というのが、ハイレゾを初めて聴く人には分かりにくいため、”ハイレゾなんてあまり変わらない”・”ハイレゾならではの違いなんて分からない”という意見が多いのです。 つまり、

  • “新しく聴こえる音は無いか・・・?”
  • “音色の違いは無いか・・・?”

という観点で違いを探しながら聴いてもハイレゾと非ハイレゾの音質の違いはなかなか感じることができないのです。

確かに私KYOも、ハイレゾの音質に対して最初は「おっ!」とは思ったものの、はじめから何がどう違うのかをうまく言い当てることができませんでした。 しかし、何回か聴くうちに音の臨場感や空気感(空気の密度感)の違いなど、”ハイレゾ音源の違いを見分けるポイント“が少しずつ分かるようになりました。 よって対処方法としては、

  • ハイレゾ音源の音質の違いを見分けるポイント“を特に意識しながら聴いてみる
  • 音の違いが分かりにくくてもまずはハイレゾの気持ちよさを味わってみる

と考えています。

また、聴き分けを行う際のポイントとして、

  • 長時間同じソースを聴きすぎずに耳が慣れる前に曲を切り替え
  • スピーカーとヘッドホンとそれぞれで音質の違いを聴いてみる

というのを試してみるのもおすすめです。

 

ハイレゾと非ハイレゾの音質の違いの分かりにくさ・・・違いが分かる聴き分け方法とは?

ハイレゾ音源ならでは注意ポイントとして、”音質の違いが分かりにくい“と感じる場合があると書かせていただきました。

具体的に臨場感や空気感(空気の密度感)の違いとも書かせていただきましたが、さらに具体的にハイレゾ音源と非ハイレゾ音源を聴き分けしやすい違いをポイントに絞ると、以下3点と考えます。 飽くまで一般人の私の耳・脳の感覚上のことなのでよく分からない場合は、軽く聞き流して下さい(笑)。

  • 音像が平面的イメージから立体的イメージになり、奥行き方向の広がりが増加する違い
  • 高音がキレイに響いてスッキリとし、圧迫感が無くなる違い
  • 音の密度が濃くなってリッチな空間を感じる違い

よって、具体的に違いが分かるように聴き分けるには、以下のポイントに注目しながら聴き比べを行うのがおすすめです。

  • 音像の大きさに注目して聴きながら特に奥行き方向の広がりに集中して聴く
  • 女性ボーカルやシンバル・ハイハットなど高音域の響き・残響感に集中して聴く
  • 音像の臨場感に注目しながら録音された当時の様子・風景を想像しながら聴く

なんか、言葉で表現するのが難しいですが、間違いなく言えるのは、

  • ハイレゾ音源と非ハイレゾ音源の音質は明確に違いを感じることができる
  • 音色・音程などではなく臨場感・空気感など空間の違いに注目すると分かりやすい

ということです。

 

ハイレゾ音源ならではの音質の違いが聴き分けやすいおすすめハイレゾ音源リスト

最後に私の個人的な感覚として、ハイレゾ音源と非ハイレゾ音源の音質の違いが聴き分けやすく、つまりハイレゾ音源ならでは感動が分かりやすかった、おすすめのハイレゾ音源を紹介させていただきます。

あくまで一般人の私の耳で聴き分けやすかったというだけですが、結果的に録音状態がよいと一般的に言われている音源になっていると思います。

アーティスト名

アルバム名
ジャケットイメージ
音質評価時のソース聴きどころポイント 音源入手元
宇多田ヒカル

Utada Hikaru
Single Collection Vol.1
5 曲目の”Addicted To You”と6曲目の”Wait & See ~リスク~”が違いが分かり易い。2曲とも特にサビのコーラスが重なる部分等でCDでも十分に音数が多くリッチな印象だが、ハイレゾになるとさらに密度と 音像の大きさが増しCDの音がシンプルにさえ聴こえてしまう。基本的にはボーカルがある部分の方が分かり易いが、宇多田ヒカルのアルバムは全般的に録音状 態がよいので、イントロや間奏などボーカルトラックの無し部分でも違いを実感することができた。 ハイレゾ音源
by e-onkyo


非ハイレゾ音源
by Amazon
TRF

TRF~Hi-Res Best~
(ハイレゾ)
20TH Anniversary
COMPLETE
SINGLE BEST(非ハイレゾ)
左のジャケットは非ハイレゾ音源のもの。”TRF ~Hi-Res Best~”のタイトル通り現時点でTRFのハイレゾ音源はこのハイレゾ限定企画アルバムのみ。その中でも”CRAZY GONNA CRAZY“と”survival dAnce ~no no cry more~“が特に違いが分かり易い。2曲とも音数が多い曲であるが、CDがコンプレッサーをかけて全体的にパンチがある音であるのに対し、ハイレゾはよりナチュラルにダイナミックレンジが広く、分解能も高くてより聴きやすい印象。 ハイレゾ音源
by e-onkyo


非ハイレゾ音源
by Amazon
中島美嘉

ずっと好きだった
~ALL MY COVERS~
9曲目の”朧月夜~祈り”が特に違いが分かり易い。さらに特にイントロ部分の効果音の高音の抜けや残響感~Aメロに続く聴かせるボーカル部分の息づかい・余韻が分かり易い。
中島美嘉のアルバムは全般的に録音状態がよいので、ボーカルトラックの無いイントロや間奏部分でも違いを実感することができた。ただハイレゾとの違い云々 の前に11曲目の”MY WAY”だけは個人的に録音状態にしろ完成度の低さにしろ全く納得できない。他のトラックが良いだけに非常に残念。
ハイレゾ音源
by mora


非ハイレゾ音源
by Amazon

 

上表で紹介させていただいた”ハイレゾ音源と非ハイレゾ音源の違いが分かりやすい作品”という視点ではなく、シンプルに聴いていて気持ちいいハイレゾ音源をこちら”買ってよかったハイレゾ音源おすすめランキング“の記事で紹介させていただいております。 こちらの記事では、私がこれまで実際に購入してみたハイレゾ音源約500曲弱の中からシンプルに”買ってよかった”と思えるおすすめの作品を詳しいレビューと共に紹介させていただいておりますので、もしよろしければご参考にどうぞ。

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