ここではクルマのオーディオシステムを取りまく環境のうち、音楽ソースなど入力側の部分について、比較的お手軽に行えるクルマの音質改善・その背景にある音質低下要因について考えてみます。
まずここでは、主に音楽ソースをカーオーディオシステムへ入力する部分の音質劣化の原因について分析していきます。
音楽ソースなどの入力部分ではなく、オーディオシステム自体の音質低下原因については、こちらの”知らない人は損してる!?車の音質が低下する3つの原因[システム編]“の記事にまとめましたので、もしよければ合わせてご参考にどうぞ。
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ソースの音質がよくない
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1つ目の音質低下要因は、再生する音楽データそのもの「ソースそのものの品質が低い」です。 今の世の中にはホントに様々な音楽ソースが存在します。
ソース・メディアの種類
放送系メディアを考えてみても、
- AMラジオ
- FMラジオ
- 衛星ラジオ
- インターネットラジオ
と非常に多様です。
また、パッケージメディアを考えてみても、
- カセットテープ(現状ほぼ無いですが・・・)
- MD(現状ほぼ無いですが・・・)
- CD(-DA)
- DVDオーディオ
- CD(-DA)のコピーデータを記録したCD-Rなどのメディア
- mp3/AAC/WMAなどの圧縮データが記録されたメディア
- mp3/AAC/WMA/FLAC/ALACなどのネット配信データが記録されたメディア
とさらに多様です。
この中で、特に現在でも多く利用されている
- FMラジオ
- CD(-DA)
- CD(-DA)のコピーデータを記録したCD-Rなどのメディア
- mp3/AAC/WMAなどの圧縮データが記録されたメディア
- mp3/AAC/WMA/FLAC/ALACなどのネット配信データが記録されたメディア
について、考えてみたいと思います。
ソース・メディア別ビットレート
今回、取り扱う上記メディアはFMラジオ以外すべてデジタル信号によって音が記録されたメディアですので、音質を決定づける1つの指標として、ビットレートを考えてみたいと思います。
FMラジオはアナログメディアですが、デジタルメディア相当として無理やり置きかえて考えてみます。
- FMラジオ:約96kbps
- mp3/AACなどの圧縮データを記録したメディア:事実上64~320kbps
- mp3/AACなどのネット配信データを記録したメディア:事実上64~320kbps
- CD(-DA)のコピーデータを記録したCD-Rなどのメディア:1,411kbps
- CD(-DA):1,411kbps
- FLAC/ALACなどのネット配信データが記録されたメディア:事実上1,411kbps以上
となります。
ビットレートを1秒間に耳に入ってくる音楽データの量と考えると、一般的にはその数字が大きいほうが情報量的に多く、録音元である生演奏やスタジオ録音中の音により近いもの=いい音であると言えます。
ですので、上記リストの上の方のビットレート低めのメディアほど、音質低下が大きいメディアとなります。
このように、使用するメディアによって、音質の低下度合が決まってしまう場合もあるのです。
ポータブル機・外部機器のつなぎ方がよくない
カーオーディオのメインユニットと呼ばれるCDデッキやラジオチューナーが内蔵されたメディア再生機器は、たいていクルマのインストルメンタルパネルの中央、運転しながら手が届く位置に配置されています。
このメインユニットに対し、
- mp3を聴きたいのにCDしか再生できないなど好みのソースが再生できない
- 普段使っているiPod・ウォークマン等のポータブル機器を車の中でも聞きたい
などの理由で、ポータブル機器やCDチェンジャーなどの外部機器をメインユニットに新たに接続・追加して使用されている場合があるかと思います。
特にポータブル機器に関しては、実は1979年から販売されているウォークマンや2001年から販売されているiPodなどに代表されるポータブル音楽プレーヤー・最近のスマートフォンの急激な普及を追い風に、クルマの中でも急速にポータブル機器の利用シーンが拡大しつつあります。
実際、私KYOも純正のオーディオメインユニットに装備されているAUXミニジャック端子にステレオミニプラグケーブルを挿しウォークマンを接続して使用しています。
無線接続による音質低下
これら非常に便利なポータブル機器ですが、主に
- ケーブルで接続すると配線の取回しがわずらわしいので無線で接続したい
- ケーブルで接続しようにもメインユニット側にAUXやUSBなどの入力端子が無い
という、利便性と接続互換性の理由で、
- FMトランスミッター接続
- Bluetooth A2DP接続
といった無線接続方式が用いられることがあります。
利便性や接続互換性解決のためには仕方ないことかもしれませんが、音質という面からみると無線接続よりも有線接続の方が有利なことが多いです。
前章同様に音質をビットレートに置き換えて考えると、
- FMトランスミッターで無線接続 = FMラジオ:約96kbps
- Bluetooth A2DPで無線接続:事実上64~約200kbps
となります。
ここで、
- mp3/AAC/WMAなどの圧縮メディアが記録された記憶媒体:事実上64~320kbps
- CD(CD-DA):1,411kbps
であることを考えると、例えば、128kbpsのビットレートでmp3圧縮され既に音質が低下した音源であってもFMトランスミッターで無線伝送するとFM信号に変換されることでさらに音質が低下したり、CD音源であってもBluetooth A2DP(SBC)で無線伝送すると常にデジタル信号を使用しているのでノイズには強いものの無線伝送直前行われるSBC(Sub Band Codec)という不可逆圧縮により約200kbp以下に音質が低下したりする場合もあるのです。
その他の入力側での音質低下
メインユニットへの入力側での音質低下に関しては、これまでに書いてきた
- ソースの種類による音質の低下
- 無線接続による音質の低下
が支配的であると考えてよいと思います。
しかし、上記以外にも、使用環境にもよりますが、
- ポータブル機器をシガーソケット経由で充電・給電しながら再生する時に受ける電源ライン経由のノイズ付加
- ポータブル機器をケーブルで有線接続する時に不平衡(アンバランス)伝送であることによるノイズ付加
- オリジナルのプレスCDをCD-Rにコピーするときのデータコピーエラー要因による音質低下
- mp3などの圧縮音源をBluetooth(A2DP)伝送する際のSBCの2重圧縮による音質低下
などの音質低下要因がメインユニットへの入力側にはあります。
以上3つの音質低下要因についての対策方法は、こちらの”こんな方法があったのか!車の音質を劇的にUPさせる3つの対策[入力編]“の記事をご覧ください。