最近のトヨタ車で採用がひろがっているディスプレイオーディオ。
ディスプレイオーディオを皮切りに、アンドロイドオートやアップルカープレイが採用され、「スマホがあればカーナビいらないかも!?」的な新しい流れができつつあります。
実はあまり話題にはなっていないものの、ディスプレイオーディオとほぼ同時期に投入されたもう1つの新機能がハイレゾ音源対応です。
実際、トヨタのディスプレイオーディオでハイレゾ音源が聴けるようになったことで、トヨタ車で聴ける音楽の音質ポテンシャルが一気に向上したのです。
よってここでは、ディスプレイオーディオで音楽を聴く場合、高音質に聴くためにはどのような方法があるか整理し、具体的な方法について書かせていただきます。
- 車で聴く音楽をできる限り高音質にしたいとお考えの方
- トヨタのディスプレイオーディオ装着車に既にお乗りの方
- トヨタのディスプレイオーディオ装着車の購入検討をされている方
- トヨタの車を購入検討されている方
は特に参考になるかと思います。
ディスプレイオーディオで高音質に音楽を聴くポイント
ディスプレイオーディオに限らず、音楽を高音質に聴く場合のポイントは以下の3点です。
- 1.できる限り高音質な音源を使う →ハイレゾ等の高音質な音源データを選択
- 2.音源~スピーカー出力までの音質劣化を最小限にする →音楽信号の変換・処理回数の少ない信号劣化しくいオーディオソースを選択
- 3.スピーカー出力から耳に届くまでの環境を調整する →周波数特性やタイムアライメント調整等のサウンドチューニングで補償
いろいろ書きましたが、ディスプレイオーディオで高音質に音楽を聴くために私たちユーザーが気を付けるポイントは、最終的に「1.音源データの選択」と「2.オーディオソースの選択」の2つです。
「3.サウンドチューニング」については、トヨタのディスプレイオーディオの場合は基本的に車の開発過程の中で作り込まれ、設定済の状態でユーザーに届けられる仕組みになっています。
よりよいサウンドチューニングやリスニング環境を手に入れるには、オプション装備のJBLシステム(新型ハリアー・アルファード・カムリ等に装着可能)を選択されるのがおすすめです。 私も何度か聴いてみたことがありますが、特にカムリのJBLサウンドシステムは個人的に非常におすすめです。
ディスプレイオーディオで最も高音質に音楽を聴く方法
先ほどの高音質に聴くためのポイントをふまえ、ここでは、高音質な音源データの選択方法と高音質なオーディオソースの選択方法について書かせていただきます。
高音質な音源データの選択方法
まずは、高音質に聴ける音源データの選択方法について書かせていただきます。
高音質な音源データとは?
ここでは、高音質な音源データとは「音楽CD以上の音質で記録された音源データ」と考えていきます。
少し前まで音楽メディアとして圧倒的な地位を確立していた音楽CD、少なくとも、その過去の音楽メディアになりつつあるCDよりも音質が悪いのは技術の進化を考えても高音質とは言えません。
一方、音楽CDよりもさらに高音質な「ハイレゾ音源」も存在します。
ハイレゾ音源としてリリースされているタイトルはハイレゾ音源で聴くのが高音質に決まってます。
しかし、ハイレゾ音源の最大のデメリットは「まだタイトル数が少ないこと」です。
よって、
- ハイレゾ音源リリース済のタイトル →ハイレゾ音源が最も高音質な音源データ
- ハイレゾ音源リリース無のタイトル →音楽CDまたは音楽CDから個人的にリッピングした音源が最も高音質な音源データ
となります。
ハイレゾ音源の入手方法については、数多くのハイレゾ配信サイトから自分に合った配信サイトを選ぶ方法を”ハイレゾ音源入手方法はサブスク/購入の2通り!おすすめサイトは?“の記事に、またこれらのハイレゾ配信サイトからハイレゾ音源をできる限り安くお得にダウンロードする方法をこちら”ハイレゾ音源をできるだけ安くお得にダウンロードする5つの方法“の記事にまとめてみました。 もしよければ、合わせてご参考にどうぞ。
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ハイレゾ音源・・・それは、ハイレゾウォークマン等ハイレゾの良さを生かせる環境で聴くと、確かに臨場感など音質的にはCD以上のすばらしい体験を味わえます。 しかし、何といってもハイレゾ音源というだけで販売価格が高いので、時には価格を見て購[…]
トヨタのハイレゾ対応の車とは?
トヨタ車のオーディオがハイレゾ音源の再生に対応したのは、おそらくディスプレイオーディオ対応とほぼ同時期と考えられます。
よって、トヨタ車の場合、「ディスプレイオーディオ対応≒ハイレゾ対応」と考えて問題ありません。
上図はカムリのディスプレイオーディオでハイレゾ音源を再生中の例です。
主なハイレゾ対応≒ディスプレイオーディオ対応のトヨタ車は以下の通りです。
- カローラ, カローラスポーツ, カローラツーリング:2019年9月以降のモデル
- CH-R:2019年10月以降のモデル
- カムリ:2019年10月以降のモデル
- ヤリス, ヤリスクロス, GRヤリス:2019年12月以降のモデル
- アルファード, ヴェルファイア:2020年1月以降のモデル
- 新型ハリアー:2020年6月以降のモデル
- RAV4:2020年8月以降のモデル
- ランドクルーザープラド:2020年8月以降のモデル
切り替わり時期に近い年式のモデルについては、ハイレゾ非対応の旧モデルかハイレゾ対応の新モデルか、特に注意深く確認が必要です。
ディスプレイオーディオのハイレゾ対応ファイルフォーマット
ディスプレイオーディオでハイレゾを聴く場合、USBメモリやSDカードの中に保存するハイレゾ音源は、ディスプレイオーディオが読み込み可能な対応フォーマットにする必要があります。
ディスプレイオーディオが使用可能なハイレゾ音源フォーマットは、以下3つです。
- FLAC:最もメジャーなフォーマット、音質を犠牲にせず少しファイル容量を小さくできる
- ALAC:Apple系の機器で採用が進んでいるフォーマット、FLACと比べると普及率は低い
- WAV:無圧縮で音質最優先のフォーマットだが、曲名やカバーアート等のメタ情報が記録できない
下図はディスプレイオーディオの取扱説明書ですが、左側がカムリ、右側がアルファードです。
トヨタ車であれば、どの車種でも同じようです。
そもそも、ハイレゾ配信サイト経由で購入できるハイレゾ音源ファイルは「FLAC」が圧倒的にメジャーです。
いろいろな再生機器での互換性を考えると「FLAC」フォーマットのファイルを購入しておくのが無難ですし、ディスプレイオーディオも対応しています。
「FLAC」ほどメジャーではありませんが、ハイレゾ音源フォーマットにはこれ以外にも
- DSD:音質がよいとされている
- MQA:音質のわりにファイル容量が小さく抑えられる
などのフォーマットがありますが、ディスプレイオーディオは対応していません。
高音質なオーディオソースの選択方法
次に、高音質に聴けるオーディオソースの選択方法について書かせていただきます。
ここで、オーディオソースの音質を決定づける1つの指標として音質とビットレートの関係について簡単に整理してみます。
ビットレートを1秒間に耳に入ってくる音楽データの情報量と考えると、一般的にはその情報量の数字が大きいほうが、録音元である生演奏やスタジオ録音中の音により近い=高音質であると言えます。 主なオーディオソースのビットレートは以下の通りです。
- USBメモリ・SDカード内のハイレゾ音源:約2,304(48kHz/24bit, 2ch)kbps以上
- Blu-ray ドルビーTrueHD:18,000kbps(48~192kHz, 7.1ch)
- アンドロイドオートのUSB接続:1,411kbps (44.1kHz/16bit)
- 音楽CD:1,411kbps (44.1kHz/16bit)
- Bluetooth A2DP(LDAC)接続:最大990kbps
- Blu-ray ドルビーデジタル:640kbps(48kHz, 5.1ch)
- Bluetooth A2DP(SBC)接続:事実上64~約200kbps
- FMラジオ:約96kbps
やはり最も高音質なのは、USBメモリ・SDカード内に保存したハイレゾ音源です。
Blu-ray ドルビーTrueHDもかなり高音質で凄まじいビットレート値ですが、これは最大7.1ch分のデータを合計したビットレートのため、2ch分でハイレゾ音源と比較すると、ハイレゾ音源の方がビットレートが大きいと言えます。
また、ワイヤレス接続でお手軽便利なBluetoothもLDACを使えば、ソニーのハイレゾ級ワイヤレスのコピー通りハイレゾに近い990kbpsのビットレート値ですが、残念ながら現状のディスプレイオーディオはLDAC非対応でSBC接続となるため、事実上200kbps程度の情報量・音質となります。
ディスプレイオーディオで選べる音楽ソース
ディスプレイオーディオに標準装備の音楽ソース
トヨタでディスプレイオーディオを搭載している全ての車に標準装備されている主な音楽ソースは以下の4つです。
- USBメモリ
- アンドロイドオート/カープレイ
- Bluetooth
- ラジオ(AM/FM)
再生状態にもよりますが、一般的に高音質に聴けるポテンシャルが高い順に並べてみました。
一部車種のディスプレイオーディオでのみ標準・オプション装備の音楽ソース
トヨタでディスプレイオーディオを搭載している一部の車に標準装備されているか、オプション装備として選択できる主な音楽ソースは以下の5つです。
- SDカード
- Blu-ray
- HDMI入力
- CD/DVD
- 地デジTV
こちらも再生状態にもよりますが、一般的に高音質に聴けるポテンシャルが高い順に並べてみました。
ディスプレイオーディオで高音質に聴けるオーディオソース選択
先ほどのオーディオソースの中から具体的に、トヨタのディスプレイオーディオにおいて一番高音質に聴けるオーディオソースはと言うと、USBまたはSDカードになります。(上図はカムリのディスプレイオーディオにUSBメモリを挿した状態の例)
音楽ファイルの信号をデジタルのまま直接入力でき、なおかつ信号の変換・処理回数を最も少なくできるからです。
下図の通り、ハイレゾ音源を使えばハイレゾ相当のデジタル信号のまま、ディスプレイオーディオの内部処理だけでスピーカー出力まで完結できます。
余計な信号変換・処理は必要ありません。
一方で例えばブルートゥースの場合、下図の通り、せっかくハイレゾの音楽データを用意してもハイレゾ状態の信号品質が保たれるのは最初だけです。
Bluetoothでワイヤレス伝送するのためにデータ圧縮され、いきなり音質劣化してしまうのです。
ディスプレイオーディオのハイレゾ対応音楽ソース
上図はディスプレイオーディオのオーディオソース選択画面です。
これらの中でハイレゾ音源に対応したオーディオソースは以下3つです。
- USBメモリ
- SDカード
- Blu-ray
- HDMI入力
USBメモリスロットは全てのディスプレイオーディオに標準装備されていますが、SDカードやBlu-rayディスクプレーヤーは一部車種のみに設定されています。
下図はディスプレイオーディオの取扱説明書ですが、左側がカムリ、右側がアルファードです。
ハイレゾ音源が再生可能なメディアとして、カムリはUSBメモリにのみ対応ですが、アルファードだと一部グレードではSDカードにも対応しています。
また、取扱説明書には書かれていませんが、Blu-rayディスクやHDMI入力も実質ハイレゾ音源が記録できるメディアなので、ハイレゾ対応音楽メディアと言えます。
ただし、実際の使い勝手を考えるとUSBメモリやSDカードを使うのがおすすめです。
実は、ハイレゾ音源に対応したオーディオソースと音質劣化が少なく高音質に聴けるオーディオソースはどちらもUSBメモリ、SDカードで一致する結果となりました。
ちなみにUSBメモリは、最近では64GBの大容量のものでも¥1,000~2,000と、とてもリーズナブルになってきています。
参考までにUSBメモリの最新の価格相場を確認されたい場合は、こちらUSBメモリ売れ筋ランキングからどうぞ。
ディスプレイオーディオで最も高音質に音楽を聴く方法の具体的手順
最後に、ハイレゾ音源も活用しながら、ディスプレイオーディオで最も高音質に音楽を聴く方法の具体的な手順について書かせていただきます。
箇条書きにすると以下4ステップの手順です。
- 1.ハイレゾファイル配信サイト等からハイレゾ音源をパソコンへダウンロード
- 2.ハイレゾ音源をパソコンからUSBメモリ・SDカードへコピー
- 3.USBメモリ・SDカードを車のスロットに装着
- 4.ディスプレイオーディオのソースをUSBメモリ・SDカードに切り替えて選曲・再生
上記4ステップの手順を図にすると以下のイメージです。 とてもシンプルです。
ポイントをもう一度おさらいすると以下の通り、
- 高音質な音源として音楽CDまたは音楽CDから個人的にリッピングした音源、ハイレゾ音源を利用
- 高音質なオーディオソースとしてUSBメモリまたはSDカードを利用
となります。
ここでは、USBメモリ・SDカードを活用して高音質に音楽を聴く方法について書かせていただきましたが、USBメモリ・SDカードで音楽を聴くには、インターネットやパソコン等様々な環境を経由して音楽データを準備する必要があります。
複数の機器が多少なりとも複雑に関係してくると、USBメモリ・SDカードがディスプレイオーディオで認識されない・・・なんてトラブルも発生してきます。
そこで、こちら”ディスプレイオーディオがUSB/SD認識しない4つの状況と対処法“の記事では、USBメモリ・SDカードの認識トラブルに関する対処方法について整理してみました。
もしよければ、合わせてご参考にどうぞ。
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