ダイハツコペンはオープンカーであることに加え、開閉ロック機構として手動式を採用していることもあり、ルーフの異音(屋根・天井付近のうるさいカタカタ音・ガタピシ音)が高確率で発生します。
車の異音はドライブ中の音楽の邪魔になるばかりか、異音そのものにも気をとられて安全運転上・精神衛生上も良くないです。
そこでここでは、私が9年間乗ってる2代目コペン(LA400系セロ)に実際に施工済で異音をほぼ完全に解消できた対策について解説します。
ここでご紹介する対策方法は、個人的なDIY対策ではあるものの、自動車の内装設計に20年間関わってきた私の自動車エンジニアの経験をフル活用してますし、私の場合は幸運にもルーフ異音をほぼ完全に解決することができたので、特にコペンセロ・ローブ・GR・X-PLAYにお乗りの方は参考にしていただけるのではないかと思います。
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コペンのルーフ異音対策の概要一覧
コペンのルーフ異音(カタカタ音・ガタピシ音)の対策方法として、体感効果が大きかった順に4つ並べると以下の通りとなります。
時間がかかるメニューからすぐ終わるメニューまでありますので、まずはお手軽に「2)」と「3)」だけやってみるのも全然ありです。
No. | 対策部分 | 施工内容 | 体感 効果 |
作業 難易度 (時間) |
---|---|---|---|---|
1) | ルーフ部の 内装材 |
内装材脱着 +スポンジ追加 |
★★★ | ★★★ (120分) |
2) | リンクアーム部 | 潤滑油追加 | ★★☆ | ★☆☆ (10分) |
3) | ルーフロック部 | キャップ追加 | ★★☆ | ★☆☆ (10分) |
4) | ルーフ部の 配線ケーブル |
内装材脱着 +スポンジ追加 |
★☆☆ | ★★☆ (90分) |
当たり前かもしれませんが、異音が発生するということは、何かと何かが当たったり擦れたりするからです。
よって、基本的な対策の方向性としては、何かと何かが当たったり擦れたりしても音が出ないよう、
- スポンジで接触時の衝撃音を緩和
- スポンジ・ゴムで隙間を埋めて動かないように(強干渉設計)
- (スポンジが入らないような)小さな隙間や可動部には潤滑油
という流れで考えていきます。
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コペンのルーフ異音対策に必要な工具・部材
コペンのルーフ異音対策に必要な工具類は以下の通りです。既にお持ちだったり代用できれば新たに準備いただく必要は無いです。
トルクスドライバー(T30)
内張りはがし(クリップはずし+ヘラ)
定規・ペン・はさみ(家にあるものでOK)
トルクスドライバーの例です。
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内張りはがしの例です。
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コペンのルーフ異音対策に必要な部材類は以下の通りです。
クッション類(汎用スポンジ, エプトシーラー, 布テープ)
ゴムキャップ(汎用ねじ頭キャップ)
潤滑油(ベルハンマー)
用意する部材類は、次章より書かせていただく異音対策の詳細手順と合わせて、書かせていただきます。
4つの対策全てを施工されない場合は、実際に施工される対策内容に合わせて準備いただければOKです。
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コペンのルーフ異音対策の詳細手順
1) ルーフ内装材の異音にスポンジ追加
私の感覚では、コペンのルーフ周り異音の半分以上は内装パネル関連と言っても過言ではありません。
具体的に異音を発生させる、当たったり擦れたりするものは、
- ルーフ内装パネル vs ルーフ外装パネル
- ルーフ内装パネル vs ルーフリンクアーム
- ルーフ内装パネル vs すぐ隣で接するルーフ内装パネル
が考えられます。
コペンのルーフ周り内装パネルの構成
LA400系コペンのルーフ周り内装パネルは下図のような構成になっています。
向かって左側が車の前側です。
上図の通り、私の場合は念のために全てのパネルにスポンジを追加しましたが、一番異音発生リスクが大きいのは、前側のルーフサイド左右のパネルです。
まずは、ここに絞ってスポンジ追加し、様子を見るのもありだと思います。
こちらのルーフサイド内装パネルについては、異音対策用にリブ高さがさらに改善された対策品も存在するようです。
車に装着されている状態の各内装パネルは下図のようなイメージです。
ルーフサイドパネル → リアクォーターパネル → ルーフエンドパネルの順番で取り外し可能です。 再度取り付けの作業は逆の順番で行います。
内装パネルへのスポンジ追加
まずは、一番異音発生リスクが大きい前側のルーフサイドパネルへの対策内容です。
ここを対策してしまえば、半分以上は完了です。(下の写真は助手席側の例ですが、運転席側も同様に対策します)
上図の通り、各場所へスポンジ類を追加します。
個人的に効果が高いと感じる順に並べると以下の通りとなります。
- 内装パネル面全体(補強リブを覆う)
- 位置決めリブ
- クリップ台座
- 内装パネル端(エッジを覆う)
実は、私のコペンは納車直後からルーフ周りに異音があり、初期のタイミングでディーラーで異音対策をしていただきました。
ディーラーでの対策箇所は以下の通りです。
- 内装パネル面(上図の下部側一部分のみ、運転席側のみ)
- 位置決めリブ(運転席側のみ)
よって、「内装パネル面や位置決めリブへのスポンジ・クッション追加」については、ダイハツディーラーでも一般的なルーフ異音クレーム対策として定着していると考えられます。
私の場合、上記のディーラーでの対策(運転席側のみ)で、新車時の異音については一旦おさまりました。
しかし数年後、今度は助手席側からの異音が発生することになります。
新車納車から数年経過していたので経年劣化の要因も考えられ、今後もさらに異音が増加するリスクを感じたので、徹底的に異音対策を施行することにしました。
今後の異音発生リスクへの予防も兼ねて徹底的に異音対策を行いたい方は、ルーフサイドパネルだけで無く、ルーフエンドパネル、リアクォーターパネルに対しても同様に、クリップ台座と内装パネル端に対してスポンジ類の追加を行います。
下図は、ルーフエンドパネルへの施行例です。 パネルの面積に対してクリップの設定数が多く、かつパネル形状も平面で安定した取り付け状態だったため、クリップ台座には施行せずパネルエッジ端のみの施行としました。
続いて下図は、リアクォーターパネルへの施行例です。 こちらは位置決めリブも含めてフルで施行しました。
スポンジの種類、使い分けについては次章にて詳しく説明させていただきます。
異音対策用の主なスポンジ類の種類
上記のようにスポンジ類で異音対策を行うにあたり、スポンジの種類とそれぞれの対応部分について簡単に書かせていただきます。
異音対策品の種類:汎用的なスポンジ
内装パネル面全体を覆うのは、コストパフォーマンスも考えると以下のような汎用的なスポンジで十分です。
多少経年劣化してもそれなりに形になっていればなんとかなりそうなので、私はこちらにしました。
内装パネルのそこそこ広めの平面など粘着力含めてシビアで無い部分への使用がおすすめです。
以下は実際に私が今回使用したセメダインのすきま用テープです。
セメダイン すきま用テープ 広幅 厚10mmX幅30mmX長2m 灰
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耐久性を重視される方は、下のエプトシーラーの方がより安心です。
異音対策品の種類:エプトシーラー
日東電工(Nitto)が開発したEPDMゴムを発泡させたスポンジ状のものに両面テープが設定されたものです。
一般的なスポンジと比較して耐久性・耐熱性に優れるため、車の内装部品としてよく使われます。
位置決めリブ、クリップ台座、内装パネル端など、粘着力やパネル形状が複雑で耐久性が求められる部分への使用がおすすめです。
以下は実際に私が今回購入+異音対策として使用したものです。
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色々な厚み、幅、長さのものが存在し、エーモンの音楽計画でも採用されています。
以下も実際に私が今回購入+異音対策として使用したものです。
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異音対策品の種類:テープ類
布製のテープも異音対策として使用可能です。
おすすめの部位としては、位置決めリブ等、スポンジ類の厚みだとスペースが厳しい部分への使用がおすすめです。
ただし、エプトシーラー等のスポンジでも圧縮すると厚みを抑えられるので代用可能です。
テサテープ(tesa) ハーネス用布テープ 51608 幅19mm×長さ25m
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ちなみに、今回私はエプトシーラーが余ったので代用しましたが、ディーラーでの位置決めリブへの異音対策ではTESAテープ等の布テープが使用されていました。
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2) リンクアーム部の異音に潤滑油追加
コペンのルーフ周り異音に対して内装パネルのスポンジ追加をやり切ってもまだ異音が残っている場合、私の経験上、それはルーフ可動用のリンクアームのキシミ音である可能性が高いです。
リンクアームのキシミ音に対しては、スペースと可動構造の都合上、スポンジ類の貼付が不可能なため、潤滑剤(潤滑油)で対策を行います。
私の場合、内装パネルへのスポンジ徹底追加に自信があったので、試しに内装パネルを全て取り外した状態でも異音が発生するか実験しました。
そもそも内装パネルが取り付いていない状態では内装パネルが原因となる異音は発生するわけ無いので、内装パネル原因の異音か、その他の原因の異音か切り分けて分析できると考えたからです。
すると、案の定、内装パネルが無い状態でも異音は発生していました。
つまり結果として、異音の発生源はルーフ可動用リンクアーム(下図)であることが分かりました。
上図では該当部分を分かりやすくするため、内装パネルが装着されたままの状態ですが、実際に潤滑剤を施工する場合は内装パネルを取り外して行うのがベストです。
また上図以外の部分についてもリンクアームのそれぞれの回転部分については潤滑剤を施工されるのがおすすめです。
以下は実際に私が今回購入+異音対策として使用したものです。 知ってる人の中ではかなり有名なベルハンマーという高性能潤滑剤です。
ちなみに私の場合、こちらの潤滑剤の塗布直後だと異音の解消ができませんでした。
しかし、塗布から数時間後に再び確認すると、リンクアームからの異音は消えていました。
潤滑剤(潤滑油)がなじむのに少し時間が必要だったのかもしれません。
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3) ルーフロック部の異音にキャップ追加
次の対策は、可動ルーフクローズ時の固定用ルーフロック部の異音への対策として、ルーフロックピンへのゴム製ねじキャップ追加を行います。
ロックピンとロックピン受けとの隙間をゴムキャップの厚み分、強制的に埋めることで異音の発生を抑えます。取付は下図のようにゴム製ねじキャップをかぶせるだけです。
似たような方法で、下図のロックピン受け側にフェルト・スポンジ・クッションを貼付する方法もありますが、ルーフオープン時の見栄えが少し悪化するので、私はロックピン側へのゴム製キャップ追加のみの対応としました。
以下は実際に私が今回購入+異音対策として使用したものです。 そのままでは長さ的に余るので、カッターナイフやハサミで短くカットして使用します。
いくつかのサイズを買って試してみましたが、M12サイズのねじキャップが一番ぴったりでした。以下のねじキャップの場合、下図のように12mm程カットすると長さ的にもピッタリハマります。
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ちなみに私の使用環境では、こちらのねじキャップは5年程で経年劣化で亀裂が入りロックピンから脱落してしまいました。
下図のように大きく亀裂が入るとさすがに補修不可能なので、新品に交換しておきました。反対側のねじキャップは亀裂無しでしたが、同じレベルで経年劣化してたので、時間の問題で亀裂発生の可能性ありと判断し、左右両側セットで交換しました。
5年持てば十分と思うですが、このような亀裂は突然来るので、心配な方は500円程度(4個入)ですので予備を持っておくと安心です。
※M12サイズが見つけれなかった場合はM14サイズのねじキャップでも装着可能です。
4) ルーフ部配線の異音にスポンジ追加
最後の対策は、ルーフ内に設定されているワイヤー・ケーブル類へのスポンジ追加です。
内装ルーフエンドパネルを取り外すと、下図のようにワイヤー・ケーブル類を確認することができます。
ワイヤーはクランプと呼ばれるプラスチック部品で間隔を空けてボディーパネルに固定されています。
しかし、その間隔が長いとたるんだワイヤーが走行中の振動と共に揺れてボディーパネル等の周辺物にペシペシ当たって異音を発するリスクがあります。
よって、ワイヤーのたるみ具合に応じてスポンジを追加しておきます。
コペンのルーフ異音対策まとめ
最後に改めて、コペンのルーフ異音を消す対策をまとめるておくと以下の4通りでした。
体感 効果 |
対策部分 | 施工内容 | 作業 難易度 |
作業 難易度 |
---|---|---|---|---|
1位 | ルーフ部の 内装材 |
内装材脱着 +スポンジ追加 |
★★★ | 120分 |
2位 | リンクアーム部 | 潤滑油追加 | ★☆☆ | 10分 |
3位 | ルーフロック部 | キャップ追加 | ★☆☆ | 10分 |
4位 | ルーフ部の 配線ケーブル |
内装材脱着 +スポンジ追加 |
★★☆ | 90分 |
以上4つの対策を行うことで、多少の手間はかかりますが、私のコペンセロでは異音をほぼ完全に消すことができました。また9年間乗り続けてるので、それなりの経年劣化があるにもかかわらず、いまだに異音発生無しの快適な状態を維持できてますので、異音対策に成功した事例として参考にしていただけると幸いです。
さらに、異音対策とは別の観点でさらに車内を静かにする方法について、こちら”エーモン静音計画の満足度ランキング“の記事で、エーモン工業の静音計画シリーズ製品を自腹購入して取り付けた実体験についてまとめてみました。 もしよければ合わせてご参考にどうぞ。
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