Harman/Kardon(ハーマンカードン)のサウンドシステムは、スバル・フォルクスワーゲン・BMW・ミニなどで採用されています。
一方で、多くの車種で最低10万円以上のオプション装備と決して安くは無いため、装着すべきか迷う場合もあるかと思います。
そこでここでは、ハーマンカードンのサウンドシステムを迷った挙句に装着した私の実体験を元に、装着して良かったこと/悪かったこと(メリット/デメリット)と音質比較結果について書かせていただきます。
ハーマンカードンを付ける付けないで迷われてる方に少しでも参考になれば幸いです。
実際に私が購入したHarman/Kardon(ハーマンカードン)装着車の詳細は以下の通りです。
私が購入したHarman/Kardon装着車 | |
---|---|
メーカー | フォルクスワーゲン |
車種 | 2024年式 ティグアン eTSI 1.5 R-Line ラグジュアリーパッケージ |
オプション 価格 |
24万円※ ※ハーマンカードン+サンルーフのセット価格 |
ハーマン カードン 仕様詳細 |
11スピーカー+サブウーハー 総出力700W/16チャンネル 採用技術:Fraunhofer Sonamic Panorama |
装着されていたハーマンカードンのスピーカー構成詳細は以下の通りです。
Harman/Kardon 11スピーカー+サブウーハー構成詳細 | |
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センター | 100 mm center speaker x1 |
前席3Way Hi | 25 mm tweeters for crystal clear treble x2 |
前席3Way Mid | 80 mm midrange speakers for clear and accurate reproduction of voices x2 |
前席3Way Lo | 200 mm woofers x2 |
後席2Way Hi | 25 mm tweeters for crystal clear treble x2 |
後席2Way Lo | 168 mm woofers x2 |
サブウーハー | 160 mm subwoofer for a punchy bass |
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ハーマンカードンサウンドシステム装着のメリット/デメリット
私は最終的に24万円のオプション料金を払ってハーマンカードンを装着する道を選びましたが、これは自分の価値観としてメリットがデメリットを上回ると判断できたからです。
冷静に考えた結果、人によってはハーマンカードンを装着するメリットがデメリットを上回らない場合も当然あります。
安い買い物では無いと思いますので、自分の価値観とハーマンカードンのメリットとデメリットを照らし合わせなが慎重に検討いただければと思います。
ハーマンカードンを装着するメリット
ハーマンカードンのサウンドシステムのメリットは以下の3点です。
- 1)常に高音質で音楽が楽しめる
- 2)ブランド物ならではの所有感を楽しめる
- 3)中古車としてリセールバリューが維持できる
1)常に高音質で音楽が楽しめる
車に乗るたびに常に高音質で音楽を楽しめることがハーマンカードンを装着する1番のメリットです。
音の聞こえ方が変わる
意外に思われるかもしれませんが、ハーマンカードンのスピーカーシステムを通して聴くことで、いつも聞いてるお気に入りの曲であっても聞こえ方が大きく変わり、今まで聞こえなかった音が聞こえるようになったりします。
私の場合、感動のあまり思わずにニヤけてしまい、お気に入りの曲がさらに好きになりました。
これにより、自分のお気に入りの全曲を今までと違った新しい音で聞くことができるので、最近聞いて無い曲も含めて自分の音楽ライブラリをもう1周してみるのもおすすめです。
実は高音質な車のサウンドシステムに限らず、高音質なイヤホン・ヘッドフォン・ホームスピーカーシステムを体験すると同じような感覚を味わえます。
高度な音響技術で没入体験ができる
例えば、フォルクスワーゲンのハーマンカードン装着車には、フラウンホーファー研究機構が開発したSonamic Panorama(ソナミック パノラマ)と呼ばれる高度な音響技術が搭載されています。
Sonamic Panoramaはソフトウェアによる信号処理アルゴリズムで、2チャンネルのステレオ信号からマルチチャンネルのサラウンド信号を作り出すアップミックス技術です。
アップミックス技術自体は昔からあり、他にも以下のものがありますが、個人的には定位感・広がり感の分かりやすさと広がり感とクリア感の両立においてSonamic Panoramaは素晴らしいと感じました。
一般的なサラウンド処理は広がり感が増す代わりに音が濁る傾向にあり、クリア感が失われがちですが、ハーマンカードンのSonamic Panoramaでは見事に性能が両立されてました。
自分を中心に全周囲から幅広く音に包まれることで、イマーシブサウンドとも呼ばれる今流行りの没入型音楽体験ができます。
代表的なアップミックス技術 | |
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Dolby | Pro Logic, Surround, Digital, Atmos |
DTS | Stereo, Neo:6, Neo:X, Neural:X |
SONY | 360 Reality Audio |
SRS | Circle Surround |
Fraunhofer | Sonamic Panorama |
Sonamic Panoramaは、フォルクスワーゲンのハーマンカードン装着車以外にもアウディのSONOS(ソノス)サウンドシステム装着車など、以下様々な車種に搭載されているようです。
Sonamic Panorama搭載メーカーと車種 | |
---|---|
フォルクスワーゲン | ゴルフ, ティグアン, パサートバリアント, ID4 |
Audi | A3, A6, A8. Q2, Q4 e-tron, Q8 e-Tron, e-Tron GT, TT |
ランボルギーニ | ウルス |
ご参考までに、フラウンホーファー研究機構公式ページによるSonamic Panorama技術の説明は以下の通りです。
命を吹き込まれた音楽
まるでステージの中央か、ライブ会場で観客の最前列にいるかのような音楽に浸ってください。
Sonamic Panoramaは、規模感を完全に調整できるので、小さなスピーカーセットが付属した初心者向きの車から、高性能のサウンド機器セットまであらゆるシステムで再生されるコンテンツに命を吹き込みます。
Sonamic Panoramaは、自然な環境の感覚や、音楽への完全な没入感も創り出しています。
2)ブランド物ならではの所有感を楽しめる
ハーマンカードンに限らず、ブランドオーディオ・ハイエンドオーディオ装着車にはスピーカーとセットでロゴバッジが装着されてます。
エルメスのバッグに「HERMES(エルメス)」のロゴバッジが装着されているのと同じです。
私の場合、運転しながらチラチラ視界に入ってくるロゴバッジにニヤニヤすることで、車そのものに加えてブランドオーディオについても所有感を噛みしめながら楽しむことができます。
3)中古車としてリセールバリューが維持できる
高音質なオーディオシステムを装着したい場合、ハーマンカードンのようなメーカー純正ブランドオーディオを装着する以外にも、実はオーディオ専門ショップでスピーカー類を加工取付・セッティングし、自分好みの音を追求する方法もあります。
しかし後者は車の改造となるので、いつか乗換の可能性があるのなら、中古車としてのリセールバリューが大きく下がるのであまりおすすめできません。
一方でメーカー純正ブランドオーディオであれば、新車購入時のみ選べる装備なので、仕様によっては希少価値につながり、リセールバリューアップとなる可能性もあります。
ハーマンカードンを装着するデメリット
ハーマンカードンのサウンドシステムのデメリットは以下の3点です。
- 1)オプション装備の価格が高い
- 2)新車購入時のみ選択可能で後付け不可能
- 3)取り外しや他サウンドシステムへの交換は困難
1)オプション装備の価格が高い
新車であれば車の価格が10万円以上高くなってしまうことがハーマンカードンを装着する1番のデメリットです。
特にハーマンカードンのようなブランドビジネスにおいては、装備品の原価+経費+利益では無く、装備品の価値に対して価格設定されるので、割高感を感じられる人もいるかもしれません。
乗るたびに常に高音質で音楽を楽しめることに対して、10万円以上の価値を感じるかどうかがポイントです。
10万円以上の価値は感じるけど金額が大きいので躊躇すると言う方は中古車で探してみるもの手です。
ちなみに、私が最初に購入したレクサスIS250のマークレビンソン仕様は中古で手に入れました。
2)新車購入時のみ選択可能で後付け不可能
新車購入後に装着可能なホイールやエアロパーツのような自動車部品も存在しますが、ハーマンカードンのようなオーディオシステムは基本的に後付け不可能です。
最近の車は様々な電子システムが複雑に連携されており、単にスピーカーやアンプだけを交換してもダメで、HMI制御システム含めて交換する必要があり、技術的にも金額的にも現実的では無いです。
ただし、中古車でハーマンカードン装着車を探すことは可能です。
3)取り外しや他サウンドシステムへの交換は困難
5~10年程前の車であれば、オーディオレスという概念が存在し、自分の好きなナビやオーディオを選んでインストールすることができました。
一方で最近の多くの車はナビディスプレイが標準装着化され、カメラ映像表示やエアコンなど様々な機器操作を画面タッチで行うケースが増えており、ナビ・オーディオシステムの取り外しが不可能です。
これに伴い、ハーマンカードンのようなサウンドシステムの有無に関わらず、一度選択したオーディオ仕様から他のオーディオシステムへ交換・インストールするのが難しくなっています。
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ハーマンカードンなどのオーディオ音質評価結果
ここからは、ハーマンカードンサウンドシステム含め、私が過去に所有または、試乗して試聴したことのあるオーディオ音質の比較評価結果について書かせていただきたいと思います。
個人的な好みバイアスも大いに入ってるかもしれませんが、10年程前までは車の音響エンジニアの仕事もしていたので、少しは参考にしていただけるのではないかと思います。
私の所有車種の音質評価結果ランキング
まずは、私個人が過去も含めて所有してた車種について、音質が良かった順にランキング化していきます。
音質評価結果は、以下凡例の通り、4段階での評価とさせていただきました。
音質評価結果凡例 | |
---|---|
◎+ | 期待を大幅に上回る感動の高音質 |
◎ | 期待を上回る感動の高音質 |
○ | 概ね期待通りの高音質 |
△ | 高音質ではあるが少し不満あり |
以下が、私の所有車種の音質評価結果ランキングです。約20年で延べ6台の車を乗り継いできました。
販売価格はオプション装着価格を記載していますが、※印のものはナビ本体やサンルーフなどサウンドシステム以外の装備価格も含まれたセットオプション価格となっています。
順位 | オーディオ ブランド |
オーディオ 装着車種 |
評価 期間 |
装備 価格 |
音質 評価 |
---|---|---|---|---|---|
1位 | マーク レビンソン |
レクサス IS250 |
14年 | 26万円 | ◎+ |
2位 | ハーマン カードン |
VW ティグアン |
1ヶ月 | 24万円 ※ |
◎ |
3位 | DIATONE | ダイハツ コペン |
8年 | 19万円 ※ |
○ |
4位 | BOSE | ポルシェ 718 |
3年 | 17万円 | △ |
5位 | レクサス プレミアム |
レクサス CT200h |
6年 | – | △ |
6位 | DYNAUDIO | VW ティグアン |
7年 | – | △ |
私の所有+試乗車種の音質評価結果ランキング
続いて、以下が、私の所有+試乗車種も合わせた音質評価結果ランキングです。
先ほど同様、販売価格はオプション装着価格を記載していますが、※印のものはナビ本体やサンルーフなどサウンドシステム以外の装備価格も含まれたセットオプション価格となっています。
順位 | オーディオ ブランド |
オーディオ 装着車種 |
評価 期間 |
装備 価格 |
音質 評価 |
---|---|---|---|---|---|
1位 | マーク レビンソン |
レクサス IS250 |
14年 | 26万円 | ◎+ |
2位 | JBL | トヨタ カムリ |
1週間 | 8万円 | ◎+ |
3位 | ハーマン カードン |
VW ティグアン |
1ヶ月 | 24万円 ※ |
◎ |
4位 | JBL | トヨタ アルファード |
1週間 | 40万円 ※ |
◎ |
5位 | マーク レビンソン |
レクサス NX |
1週間 | 24万円 | ○ |
6位 | JBL | トヨタ プリウス |
1週間 | 42万円 ※ |
○ |
7位 | DIATONE | ダイハツ コペン |
8年 | 19万円 ※ |
○ |
8位 | BOSE | ポルシェ 718 |
3年 | 17万円 | △ |
9位 | レクサス プレミアム |
レクサス CT200h |
6年 | – | △ |
10位 | DYNAUDIO | VW ティグアン |
7年 | – | △ |
こちらの評価結果から以下のことが分かります。
- 同じサウンドシステムでも車種によって音質が大きく違う(例:カムリのJBLとプリウスのJBLは全然違う)
- 販売価格と音質は比例しない(例:価格は1/3でもカムリのJBLはISのマクレビに匹敵する高音質)
- ボディー形状はセダンタイプが高音質傾向(ボディー剛性の高さも影響)
私の所有+試乗車種のオーディオ音質評価結果詳細
ここからは、上記ランキングの音質評価結果として私が感じたことを具体的に書かせていただきます。
1位:マークレビンソン/レクサスIS250
非常にクリアで解像度の高い高音と、やや控えめながらも音量を上げれば迫力のある低音。
車室内空間に合わせた定位・音像チューニングも作り込まれており、常に音場空間の中央にで聴ける。
購入後にドアにデッドニング処理を施工したため、純正状態より音質向上した状態での評価結果。
2位:JBL/トヨタカムリ
高音と低音が程よく強調された分かりやすい音質でとても聴きやすい。
特に解像度の高い高音の定位感が秀逸で、個人的にはJBL採用車で中でこれ以上定位感に優れた車は聴いたことが無い。
3位:ハーマンカードン/VWティグアン
ステレオ音質はJBLのような派手さは無いものの十分な臨場感あり。
秀逸なのはサラウンド音質で、サテライトの役割を持たせた後席ドアツィ-ターの絶妙な配置場所と疑似サラウンド技術Sonamic Panoramaの採用効果もあり、クラスレスの高性能を感じた。
4位:JBL/トヨタアルファード
広いキャビン空間に合わせてうまく音像が作り込まれており、より一層の広い空間にいることを感じさせられる。
音の傾向は他のJBL採用車同様に程よく強調された高音と低音により聴きやすい音質。
5位:マークレビンソン/レクサスNX
クリアで解像度の高い高音と全域に渡ってバランスの取れた自然な音作りで、大きめの音量で聴いても全く聴き疲れしない。
ただ個人的には少し前のマークレビンソンのように分かりやすい派手さがあっても良い気がする。
6位:JBL/トヨタプリウス
先代プリウスにモデル途中まで設定されてたJBL仕様。
JBLならではの程よく強調された高音と低音で聴きやすいが、サブウーハーが設定されて無いため、低音をフロントドアウーハーに頼るあまり音量を大きくし過ぎるとドアの内装材が共振して音が濁る場合もある。
7位:DIATONE/ダイハツコペン
車種専用チューニングソフトと追加オプションの簡易デッドニングキットが選択でき、販売店装着ナビかつナビ一体型アンプでありながら、高音質なサウンドを提供。
軽自動車のドアの厚みを考えると仕方は無いが低音はやや物足りない。一方でツィーターのAピラー高め配置の効果もあり、クリアで解像度の高い高音は軽とは思えない。
購入後に純正の簡易デッドニングキットを取り外し、デッドニング処理を施工したため、純正状態より音質向上した状態での評価結果。
8位:BOSE/ポルシェ718
BOSEが得意とする迫力ある低音や臨場感ある音は聴けるが、ハーマンカードンやJBLにあるような艶のあるクリアな高音は聴けない。
結果、迫力や臨場感は十分楽しめるものの、Hi-Fi的なクリアな音や定位感を楽しみたい場合は物足りなさを感じる。
9位:プレミアムサウンド/レクサスCT200h
レクサスに標準装備のサウンドシステム。
オプションのマークレビンソンと近い味付けで派手さは追わず、自然でバランスの取れた音質。個人的には普通っぽ過ぎる点に少し物足りなく感じた。
10位:DYNAUDIO/VWティグアン
先代ティグアンの限定車に設定されていたDYNAUDIOのサウンドシステム。
ハーマンカードンやJBLのような分かりやすい派手さが無い自然な音質。個人的には臨場感や高音のクリア感において少し物足りなく感じた。
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ハーマンカードンを装着できる車種一覧
ハーマンカードン公式サイトによると、2024年現在、Harman/Kardon(ハーマンカードン)のサウンドシステムが装着されている車は以下の通りです。
ハーマンカードン装着可能メーカーと車種一覧 | |
---|---|
スバル | レガシーアウトバック, クロストレック, インプレッサ, WRX, ソルテラ |
フォルクス ワーゲン |
ゴルフ, ティグアン, パサート, アルテオン |
BMW | 1/2/3/4/5/6/8シリーズ, X1/2/3/4/5/6/7, XM, iX, Z4 |
ミニ | ミニ, クーパー, カントリーマン, クラブマン |
ボルボ | C40, EX30, XC40/60/90, V60/90, S60/90 |
アルファロメオ | ジュリア, ステルヴィオ, トナーレ |
マセラッティ | ギブリ, クアトロポルテ, グランツーリスモ, レバンテ |
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車にハーマンカードンを装着すべきか問題まとめ
最後にもう一度、ハーマンカードン装着すべきか問題についてまとめておきます。
ハーマンカードンのサウンドシステムのメリットは以下の3点でした。
- 1)常に高音質で音楽が楽しめる
- 2)ブランド物ならではの所有感を楽しめる
- 3)中古車としてリセールバリューが維持できる
一方で、ハーマンカードンのサウンドシステムのデメリットは以下の3点でした。
- 1)オプション装備の価格が高い
- 2)新車購入時のみ選択可能で後付け不可能
- 3)取り外しや他サウンドシステムへの交換は困難
以上を踏まえ、ハーマンカードンを装着する1番のメリットである「車に乗るたびに常に高音質で音楽を楽しめること」が1番のデメリットである「車の価格が10万円以上高くなってしまうこと」よりも、ご自分の価値観として上回るかどうか、10万円以上の価値を感じるかどうかを慎重に自問自答いただき、決断いただければと思います。
ハーマンカードンのようなブランドビジネスにおいては、装備品の原価+経費+利益では無く、装備品の価値に対して価格設定されるので、割高感を感じられる人もいるのも事実だと思います。