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なぜ音楽聴き放題サービスは無料/激安なのに音楽市場を独占できないのか?

公開日: : 音楽メディア

IT技術の急速な発展やシェアリングエコノミーに代表される所有から共有への価値観の変化により、いわゆる音楽聴き放題サービスが音楽を聴くスタイルの1つとして定着しつつあります。

私KYO自身もヘビーユーザーとは言えないものの、音楽聴き放題サービスを使い続けて2年になります。

衝撃的に登場し「無料・激安で音楽聴き放題」を売り文句に音楽市場を大きく変えてしまった音楽聴き放題サービスですが、将来最終的には市場を独占することになるのでしょうか?

つまり、音楽聴き放題サービスが今後もどんどんシェアを拡大し続け、他の流通メディアである音楽配信・ダウンロードサービス、CDなどが廃止に追い込まれるまでの未来は来るのでしょうか?

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ここでは、音楽聴き放題サービスの現状・メリットについて確認すると共に、音楽聴き放題サービスが音楽市場の独占にまでは至らない根本的な理由について書かせていただきます。

音楽聴き放題サービスとは

音楽聴き放題サービスは最初は海外からスタートしましたが、2015年以降日本でも多くの音楽聴き放題サービスが開始されました。 特に2015年11月のアマゾンプライムミュージック開始、2016年11月のSpotify開始で一連の音楽聴き放題サービスが出そろった感じです。

多くの音楽聴き放題サービスが出そろった今、私たちユーザーは、自分の好みに合ったサービスを選べたり、アマゾン等のサービス運営会社に競争の原理が働き利用料金低価格化が期待できたりと多くのメリットを受けることができます。

音楽聴き放題サービスの一番の特徴は、驚くほどの低価格でサービス対象の膨大な楽曲数が聴き放題なことです。 「無料・激安で音楽聴き放題」を武器に音楽聴き放題サービスは、どんどん普及を加速させています。

 

音楽聴き放題サービスならではの3つのメリット

そもそも音楽聴き放題サービスは、従来のCD購入・CDレンタル・音楽ダウンロード購入と比べてどのような「うれしさ」があるのでしょうか?

簡単にいうと以下3つと考えています。

  • 1ヶ月¥1,000前後払うならCD購入(数曲)よりCDレンタル(数十曲)より圧倒的に多い100万~4,000万曲以上楽しめる
  • CDや曲データのファイルをいちいち持ち運ばなくてもサービスにアクセスすればいつでもどこでも聴ける
  • サービス側の機能として、ネットならではのSNS的つながりやシーンに合った曲の提案等による新たな曲との出会い

細かい機能は各サービスによって違ってきますが、上記3つの音楽聴き放題サービスならではのうれしさの背景には、

  • コスト感覚含めた所有から共有への価値観の変化
  • IT化の流れに合った新たな聴き方・スタイルへの移行
  • 新たな曲との新たな出会い方を求めるニーズ

といった、時代の流れも含めた変化があるのではないかと考えています。

 

音楽聴き放題サービス一覧(オフライン再生対応に厳選)

まずは、以下の表に現在日本でサービスが行われている代表的な音楽聴き放題サービスをまとめてみました。 ここでは「オフライン再生に対応」しているサービスのみを厳選し、ストリーミング型のみやラジオ型等の聴き放題サービスは除外しました。

簡単に言うとオフライン再生を活用することで、常にネット接続(=外出先では通信料発生)する必要が無くなり、通信料を抑えることができます。 もちろん、音楽聴き放題サービスのメリットである100万~4,000万曲以上へ常にアクセスする等サービスを最大限活用したい場合はネット接続を行う必要があります。 しかしネット接続は、Free WiFiや自宅など通信コストが抑えられる環境を選んで行うのが通信料削減につながるかしこい使い方ではないかと考えています。

聴き放題
サイト名
月額
料金
楽曲数 オフライン
再生方法
音質
(ビット
レート)
対応機器 おた
めし
無料
期間
サービス
開始
時期
Amazon
Prime
Music
¥325
(¥3,900
/年)

100万曲
ダウンロード
(曲数無限)
~256
kbps
iPhone、iPad、Androidスマホ/タブレット、PC(オフライン再生不可) 30日 2015年
11月
Google
Play
Music
¥980
3,500万曲
ダウンロード
(曲数無限)
~320
kbps
iPhone、iPad、Androidスマホ/タブレット、PC(一部オフライン再生可※) 30日 2015年
9月
Apple
Music
¥980
4,000万曲
ダウンロード
(曲数無限)
~256
kbps
iPhone、iPad、Androidスマホ/タブレット、PC、Apple TV 3ヶ月 2015年
7月
LINE
Music
¥980
4,000万曲
キャッシュ
機能
(~500曲
/~7日)
~320
kbps
iPhone、iPad、Androidスマホ/タブレット、PC(オフライン再生不可) 3ヶ月 2015年
6月
AWA ¥960
4,000万曲
キャッシュ
機能
(曲数無限
/~7日)
~320
kbps
iPhone、iPad、Androidスマホ、PC(オフライン再生不可) 1ヶ月 2015年
5月
レコチョク
BEST
¥980
600万曲
キャッシュ
機能
(~約4000曲
(16GB))
~320
kbps
iPhone、iPad、Androidスマホ/タブレット、PC(オフライン再生不可) 3日 2013年
3月
Spotify
Premium
¥980
4,000万曲
ダウンロード
(~3333曲)
~320
kbps
iPhone、iPad、Androidスマホ/タブレット、PC 7日 2016年
11月

※Safari、Internet Explorer、Firefox のいずれかを使用してダウンロードする場合:1曲につき2回パソコンへのダウンロード可。Chrome 版 Google Play Music や Music Manager を使用する場合:回数制限なしでパソコンにダウンロード可。

表のポイント及び補足を簡単にまとめさせていただくと、

  • 音質はWiFi接続で安定してダウンロードする限り、各社で差は無し
  • 曲数無制限のパソコンへのダウンロード+オフライン再生はApple Musicのみ可能
  • 曲数は少ないが、Amazon Prime Musicが一歩抜きん出て安い
  • Line、AWA、レコチョクBESTのオフライン再生はダウンロードでは無くキャッシュ機能による再生なので、扱いづらい上に勝手に消えたりする

となります。 日本では2016年にサービス開始されたSpotifyには無料プランもありますが、オフライン再生には対応していないため、ここではあえて有料のSpotify Premiumのみを取り上げました。

単純に楽曲数で比較するとSpotify・Google Play Music・Apple Music等が最も多くAmazon Prime Musicが最も少ないですが、実はSpotify・Google Play Music・Apple Music等ですら、全ての新曲含む楽曲をカバーしきれているわけではありません

 

音楽聴き放題サービスが無料/激安なのに音楽市場を独占できない理由

「無料・激安で音楽聴き放題」を武器に拡大し続ける音楽聴き放題サービスですが、このまま世の中の音楽が全て音楽聴き放題サービスになって、それ以外のCDや音楽配信・ダウンロードサービスは無くなっていく・・・なんて未来はありえないと考えています。

実は、以下2つの理由により、音楽聴き放題サービスは音楽市場を独占することができないと考えれます。

  • 音楽聴き放題サービスには決定的なデメリットがある
  • ライバルとなる既存音楽メディア(CD,音楽配信サービス)に存続価値(メリット)があり消滅しない

次章より詳しく書かせていただきます。

 

音楽聴き放題サービスの決定的なデメリット

実は、音楽聴き放題サービスには以下2つの決定的なデメリットがあります。

  • 全てのアーティスト・楽曲を網羅することができない
  • 基本的に音楽データを所有することができない

 

全てのアーティスト・楽曲を網羅することができない

Spotify・Google Play Music・Apple Musicなど最も多く4,000万曲もの楽曲を対象としている音楽聴き放題サービスでさえ、全てのアーティストの楽曲を完全に網羅することはできません

現時点でもジャニーズ等のJ-POP系大物アーティスト・一部のマイナーなインディーズアーティストは対象外です。 元々海外で始まったサービスだけに洋楽の対象範囲がそこそこ広いのに対し、邦楽の対象範囲はまだ広いとは言えません。

 

基本的に音楽データを所有することができない

音楽聴き放題サービスでは楽曲の再生を行う際、一部サービスではオフライン再生ができるものの、通信環境化でのストリーミング再生が基本となります。 よって、音楽データを所有するというよりは、必要に応じて毎回取りに行くイメージです。

自分が現在所有していない楽曲でサービス対象外の楽曲が聴けないのは当然ですが、過去に自分が購入・収集済のCDやダウンロードした音楽データであってもサービス対象外の楽曲の場合音楽聴き放題サービスとしては聴くことができません

つまり結果的に、音楽聴き放題サービスを利用してもこれまで自分が収集した音楽データの音楽ライブラリは並行して聴き続けることになるのです。

ちなみにGoogle Play Music等では、この2重管理的なめんどくささを解決するために、最大5万曲まで自分が所有済のローカル音楽ライブラリをクラウド上にアップロードし、聴き放題対象の3,500万曲と同じ音楽ライブラリとして取り扱うことができます。

 

既存音楽メディア(CD,音楽配信・ダウンロードサービス)が消滅しない理由

新たな音楽メディアの登場で消滅した音楽メディアとその理由

実際、過去には新たな音楽メディアが登場することで事実上消滅してしまった音楽メディアがあります。

20代以下の方はあまり実感が無いかもしれませんが、30代以上の方なら過去消滅した音楽メディアとして、カセットテープやMDが記憶に新しいのではないでしょうか?

  • カセットテープ:1960年代に登場し、1990年代にCDにシェアを奪われるまで最強メディアとして君臨。2000年代にほぼ消滅。
  • MD:1990年代に登場し、特に録音用メディアとしてカセットテープの代替となったが、CD-Rの普及で2000年代にほぼ消滅。

私KYOは1970年代生まれなので、10~20代という人生で最も多感に長時間音楽に没頭できる時期にちょうど1980~2000年代のメディア激変の時代を経験しました。 この時期、カセットテープ→MD→CD-R→mp3と非常に多くのメディアの移り変わりを身を持って体験しました。

具体的に何が起こったかというと、私自身含めて、カセットテープ難民・MD難民を大量に目の当たりにしたのです。 カセットテープやMDで自分のお気に入りの音楽ライブラリを構築していたのに、気付くと再生できない環境に陥るという現象です。

今でも私の実家には大量の「想い出のカセットテープコレクション」「想い出のMDコレクション」が存在します(笑)。

しかし、それを再生できるカセットプレーヤー・MDプレーヤーは壊れたまま放置状態です。

ちなみに私の2006年式の車にはMDデッキが搭載されています。 少なくとも5年以上は使用した記憶がありませんが、たぶん壊れていた気がします。

IS_MD_deck

実は、カセットテープやMDが消滅した理由を考ええることで、音楽メディアが消滅する場合の黄金パターンが見えてきます。

私を含めた多くのカセットテープ難民・MD難民が、壊れたカセットプレーヤー・MDプレーヤーを修理しない・できない理由もここにあります。

この場合、カセットテープやMDの代わりに登場した新たな音楽メディアはCD-Rだと考えています。

当時、カセットテープやMDの使用目的は、

  • CD音源のコピー(録音)
  • CD音源をMIXしたオリジナルベストの作成(選曲+録音)

がメインだったと記憶しています。 これに対し、当時最新の音楽メディアはCD-R/CD-RWは、

  • 使い勝手:パソコン等を使えば簡単にCDコピー可+倍速書込等の時間短縮も可
  • メディアの価格:数100円/枚と既存メディア同等価格
  • 音質:CD音質の44kHz/16bitデータを原則そのまま維持してコピー可

という驚くほどメリットだらけ完全無欠の音楽メディアとして登場しました。

つまり、CDを選曲+録音するというカセットテープ・MDで行っていた行為に対し、使い勝手・価格・質の全てにおいて、当時最強最新の音楽メディアCD-Rは、既存音楽メディアであるカセットテープ・MDを凌駕する性能を持ち合わせていました。

このように使い勝手・価格・質の全てにおいて勝ってしまう新メディアが出てきた場合、ユーザー・再生機器メーカー・メディア製造メーカーは「その既存音楽メディアに明らかに未来は無い」と判断し、見切りをつけてしまいます。

よって、ユーザーの利用モチベーション、再生機器・メディアの供給も暗黙の了解を得たようにストップしてしまうのです。

 

CD,音楽配信・ダウンロードサービスが消滅しない理由

過去消滅したカセットテープやMDに対し、CDや音楽配信・ダウンロードサービスには使い勝手・価格・質の全てにおいて凌駕する新しい音楽メディアは現状存在していません

確かに、使い勝手・価格・質の一部において、負けている面はあります。

CDの場合、

  • 使い勝手 → ×:物理的なディスク持出しのめんどくささは音楽聴き放題・音楽配信サービスに対して劣る
  • 価格 → ×:1曲単位の購入ができない・音楽聴き放題サービスより高い、○:アルバム単位購入だと音楽配信サービスより安い場合あり
  • 質 → ○:ハイレゾ配信以外の音楽聴き放題や音楽配信サービスに対して高音質・音楽聴き放題サービスには無い曲が聴ける

音楽配信・ダウンロードサービスの場合、

  • 使い勝手 → △:自分でローカルやクラウドのストレージにファイル保存・管理が必要で音楽聴き放題サービスに対して劣る
  • 価格 → ×:音楽聴き放題サービスより高い
  • 質 → ○:音楽聴き放題サービスには無い曲が聴ける

です。

このようにCDや音楽配信・ダウンロードサービスには、現存する他メディアに対してまだまだ明らかに勝っている面も残っています。 何となくCDは古い印象もあるし明らかに売り上げは落ちてはいるものの、2000年代当時のカセットテープ・MDとメディアの存在価値を比較すると明らかに次元が違います。

つまりカセットテープ・MDとは違い、CDや音楽配信・ダウンロードサービスは現時点ではまだ消滅せずに継続していく音楽メディアであると考えられます。

 

音楽聴き放題サービスとの付き合い方

「無料・激安で音楽聴き放題」を武器にどんどん普及を加速させている音楽聴き放題サービスですが、音楽市場を独占するまでには至らないことは、なんとなくご理解いただけたかと思います。

では、音楽聴き放題サービスとはどういった距離感で付き合っていけばいいのでしょうか?

音楽市場を独占できないからと言って、音楽聴き放題サービスとは一切付き合ってはいけないわけではありません。

つまり、「会費月額約1,000円支払えば、この世の全ての楽曲が手に入る」という幻想は捨てなくてはなりません。

そもそも冷静に考えると、従来のアルバムCDやアルバム配信・ダウンロードが1タイトル約2,000~3,000円だったことを考えると、2~3ヶ月毎に新たなアルバム1タイトル以上聴きまくっていれば、音源を所有できはしないもののある意味元が取れる計算なのです。

2~3ヶ月毎に新たなアルバム1タイトル以上聴きまくれる自信があれば、音楽聴き放題サービスに加入した上で、

  • 加入中の音楽聴き放題サービス内に無い楽曲のCDまたはダウンロード購入
  • 加入中の音楽聴き放題サービス内にあるけど超お気に入りの楽曲のCDまたはダウンロード購入

に対しては迷わず追加で費用を投じ、あくまで音楽聴き放題サービスと従来のCDや音楽配信・ダウンロードサービスは併用するのが正しい使い方と考えます。

逆に、「常に2~3ヶ月毎に新たなアルバム1タイトル以上聴きまくらないから、会費月額1,000円が高く感じる」と言う方は、音楽聴き放題サービスの利用は一旦見合わせるか、私KYOも利用してますが、年額3,900円(月額換算325円)と最も安く、ついでにビデオも見放題、ネット通販の配達がほぼ当日や翌日配送になるという至れり尽くせりのAmazon Prime Musicを利用されるのがおすすめです。

Amazon Prime Musicなら、7~10ヶ月毎に新たなアルバム1タイトル以上聴きまくっていれば元が取れる計算というか、もしネット通販をよく利用されるのならその送料分で先に元がとれてしまうかもしれません。 ちなみにAmazon Prime Musicはアメリカでは年額$99(=1万円)の会費なので、現在の日本での会費は激安とも言えます。

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